第17章 気持ち
翌日。
泰葉は目を覚ました。
天元の嫁3人と
しのぶや蜜璃はまだ眠っている。
早起きをしすぎたようだ。
まだ薄暗い朝にボーッとする。
昨夜は布団に入ってからも、
恋愛話に花が咲いた。
蜜璃と小芭内はどうやら両思いなのに、
一方的な片思いだと互いに思い込んでいる。
無視して教えてあげたいくらいだ。
天元と嫁3人の馴れ初めは…なかなか複雑だった。
しかし、今幸せに感じているなら良いと思う。
過去があって今がある。
それも素敵な事だ。
恋か。
しのぶも今はそんな気持ちがないと言っていた。
(私は…まだ恋をしたいと思っているのかな…)
そう思ってると、ガサガサっと音がする。
泰葉はこんな朝早くに物音がするのを不審に思う。
この部屋には女性陣しかいない。
物音はその襖の先。
泰葉はそっと襖を開ける。
すると、ドサッと何が倒れかかってきた。
「き、きゃぁっ!!!」
思わず悲鳴をあげる。
し「…!どうしました⁉︎」
蜜「何⁉︎鬼⁉︎」
泰葉の悲鳴に、みんな起きてしまった。
咄嗟に刀やクナイなどを構える。
その目線の先に仰向けに倒れる泰葉。
その上に仰向けに被さるように倒れているのは…
し「冨岡さん?
何をしているんです?」
義勇だった。
義「俺は…何もしていない。」
泰葉は義勇の背中に押しつぶされている。
「く…苦しい…」
杏「悲鳴が聞こえたが⁉︎
な…に、が…?」
悲鳴を聞きつけて、別室から男性陣も駆けつけた。
義勇は目をパチパチさせる。
そして、自分の背中でもぞもぞしている泰葉に気づき、
急いで起き上がった。
義「泰葉!大丈夫か⁉︎」
泰葉は息を整えながら、頷いた。
「私が、急に開けたから…すみません。」
天「冨岡、押し倒すにもやり方が独特すぎんだろ。
一体なんだっていうんだ。」
女性陣は泰葉に、なんて事をしてくれたと額に筋を立てる。
杏「何⁉︎ 冨岡!押し倒すとは…!感心しないな!」
杏寿郎ももちろん筋が立っている。
その様子に慌てたように、
義勇が説明し始めた。
義「ち、ちがう!」