第16章 歓迎会
泰葉の寝息が落ち着いたので、女性陣は元の部屋へと戻った。
男性陣も、色々と落ち着いたようで、飲み直している。
杏「泰葉さんは…大丈夫か?」
しのぶは頷く。
し「軽い気持ちで、酔ったところが見たいと思ってしまいましたが、いけませんでしたね。」
実「なんだか、悪いことしちまったなァ。」
みんな、バツが悪そうだ。
小「まぁ、西ノ宮も無事に寝たんだ。
起きてどうなってるかだな。」
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日も沈み始めた頃。
今、任務の知らせがないとすると、落ち着いているようだ。
天「お前ら、今日はもう日が沈む。
こうして集まることも難しくなるだろうから、泊まっていけ。
部屋も浴衣もあるから、何も心配いらねぇし。
泰葉もまだ眠ってるしな。」
皆、たまには悪くない、と頷いた。
実「しかし、煉獄がこうして酒を飲むなんて珍しいなァ。
いつもは気分じゃないって、断るじゃねぇかァ。」
杏寿郎は目を細めて、お猪口に入った酒を見る。
杏「皆も知っている通り、俺には酒のいい記憶はなかった。
むしろ、正直見たくもないものだった。」
柱達はその理由を知っている。
父、槇寿郎のことだ。
酒に溺れ、鬼殺も、育児も全てを投げ出してしまった。
杏「しかし…
今は楽しい酒が飲めるようになったんだ!」
天「…おい、それって…」
杏「あぁ!完全とはまだいかないが、父は戻ったぞ!」
それには皆驚きが隠せない。
蜜「一体、何が起こったの…。」
蜜璃は杏寿郎の継子として、煉獄家でお世話になったことがあった。
しかし、槇寿郎は変わらず部屋に篭り酒に溺れていた。
蜜璃も何度か声をかけたりしたが、門前払い。
なす術もなかった。
杏「泰葉さんが、救ってくれた。
父が西ノ宮家と繋がっていた事もあるが…
彼女の力といった方が良いだろう。
父とぶつかってくれたんだ。」
そう言って、酒を飲み干す。
天「…そうかい。」
天元は微笑み、そうだけ言って、自分の酒を飲み干した。