第3章 蝶屋敷
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しのぶは診察室にいた。
煉獄、炭治郎、善逸、伊之助、4名ともまだ目を覚ましていない。
炭治郎は骨折に加え刺された腹の傷が深く、重症。
善逸、伊之助も骨が折れていた。
しかし、不思議だったのが
煉獄の傷の具合。
切り傷やかすり傷はあるにしても、大きなものは何もなかったのだ。
流石に相当激しい戦闘だったようで、疲労からか眠り続けているが、起きればすぐに動けることだろう。
隠からの報告によれば、隊士の中で上弦と戦ったのは煉獄のみ。
いくら煉獄が優秀な柱であるとしても、ありえない。
上弦は柱3人分の力だと言われている。
途中泰葉が加勢したというが…
「泰葉さんが、煉獄さんを上回るほど強かった…という事でしょうか…。」
煉獄を守りきるような程強いとは…正直思えない。
しのぶは、お茶を飲んだ。
…もう一件、泰葉の事で悩んでいた。
泰葉の笑顔だった。
まだ完全な笑顔ではなかったが、微笑んだだけでも十分の破壊力。
それと背格好も顔も似ていないが、
しのぶの姉、カナエを思い出させた。
「姉さんは、しのぶの笑った顔が好きだなぁ」
よくそんな事を言っている人だった。
そんな彼女も鬼に殺されてもういない。
姉の意志と、仇を打つ為、自分を殺して姉のように笑顔を絶やさず生きてきた。
しかし、泰葉に微笑まれた時、それが崩れてしまいそうだった。
泣いてしまいそうだった。
こんな気持ちになったのは初めてだ。
「どうしたものでしょう…」
しのぶは頭を抱えた。
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3日後
泰葉は、すっかり元気になっていた。
ご飯も食べられるようになり、体の不調もなくなった。
蝶屋敷の女の子達とも仲良くなり、病室にはカナヲ、なほ、すみ、きよが談笑に来ていた。
なほ「泰葉さんはどこからいらしたのですか?」
「列車に乗るまでは、浅草に住んでいたの。
でも、お見合いの話をするのに故郷に帰ろうとしていて。」
すみ「お見合いですか⁉︎それは、大丈夫だったのでしょうか?」
「いいのいいの。ずっと断り続けているから。もう17の頃からお見合いを断っているんだから、母も諦めてくれると良いのだけどね…。」
きよ「…そうなんですか。可愛い方も大変なんですね。
「…?」