第16章 歓迎会
泰葉はどうしていいのか分からず、動けずにいた。
無一郎は、どんな気持ちで言ったのだろうか…
姉のような存在で?
いや、もはや母?
それとも人間として?
女性として…ではないと思うが。
そうしていると、居た堪れなくなったのか、行冥が立ち上がり無一郎を泰葉から離した。
行「時透にもそのような感情が出てきたのは、実にめでたい。
しかし、泰葉が困ってしまう。
少し解放してあげなさい。」
そう言って、無一郎を行冥の隣に座らせた。
無一郎はもちろん不服そうだ。
その様子にホッとした一同。
すると、天元が泰葉の方に来た。
天「泰葉、25なら酒も飲めるだろう?
嫌いか?」
「嫌い…ではないのですが…」
と、濁していると
杏「泰葉さんのご両親が、頑なに飲ませなかった。
なんでも、酔いやすいようだ!」
そう聞いて、天元がニヤリと笑った。
こういう時の顔って、悪い顔だなーと思う。
天「ここは店じゃねぇし、酔ったら嫁達や胡蝶達が介抱してくれる。
嫌いじゃないなら、飲んでも良いんじゃねぇの?」
し「酔ったらどうなるんですか?それによって飲むか決めても良いと思いますよ。」
しのぶの言う通りかもしれない。
泰葉は以前、両親と飲んだ時を思い出す。
「記憶はないのですが…
両親は飲んだ後に人に会ってはいけないと言われました。
だから、相当酷かったのだと思います。」
それを聞いて、行冥と小芭内を除いて全員が、ゴクリと喉を鳴らす。
………みたい!!!!!
し「わ、分かりました!
では、まずは私たち女子だけで様子を見る事にしましょう!
もしもの時に、下心のある男性達に見られるわけにはいきませんからね!!」
蜜「そ、そうね!私たちなら大丈夫だものね!」
雛「えぇ!どんな酔い方でも受け入れます。」
…ということで、男性陣は少々不満だが
天元から、あまりキツくない果実酒をもらい、少しコップに注いだ。
ふわっと甘い香りがする。
ちなみに3人のお嫁さん達は、この果実酒では全く酔わない。
そのくらい軽いものである。
「い、いただきます。」
女性陣に囲われるようにされながら、少しだけ飲んでみる。
桃のお酒のようだ。