第16章 歓迎会
その言葉に天元は首を振った。
天「引退するのは変わらない。
お前たちとの約束だからな!その代償だと思って諦めてたが、実験台だとしても、不自由無くなって幸運だったぜ!」
そう言って左手をヒラヒラさせた。
泰葉はその時、天元が引退するのだと知った。
理由は色々あるようだ。
しかし、本人達が納得しているのならば良い事なのだろう。
他の仲間たちも、納得しているようだし。
引退の話もその辺で、楽しい食事が始まった。
どの料理もとてもおいしかった。
「んー!美味しい!」
そう舌鼓をうっていると、周りから箸の落ちる音や、お猪口を落とす音が聞こえた。
泰葉の笑顔に心を射抜かれた者たちの箸などが落ちたのだ。
食事組はお腹いっぱいになってきた。
しかし、驚くのは蜜璃の食べる量。
目の前に並んだ大量の料理が次々と消えていく。
「か、甘露寺様は、たくさん召し上がれるのですね。」
泰葉は、驚きのあまり呟いた。
すると蜜璃は少し照れながら、
蜜「ほら、私筋肉量が多いからか、すぐにお腹が空いちゃうのよ〜!」
と、教えてくれた。
蜜「それより!泰葉ちゃん!
私は泰葉ちゃんって呼んでるんだから、泰葉ちゃんも私のことを甘露寺様なんてやめて?
私も仲良くなりたいわ!」
し「私はすでにお友達なので敬語は無しになりましたよ。」
少し得意げなしのぶ。
蜜「えー!ずるい〜!
私も蜜璃ちゃんって呼んで?」
その可愛さに箸を落とす泰葉。
そして同じくお猪口を落とす男が1人。
伊黒小芭内だ。
「み、みみみ…蜜璃ちゃん?」
恐れ多くもそう呼ぶと、また一際目を輝かせる蜜璃。
なんてかわいいのだろうか。
泰葉はちらりと小芭内の方を見てみる。
やはり彼も蜜璃に釘付け。
…そういうこと。
柱の間でも、恋愛感情はあるのだな…と思う。
やはり、なんだかんだ言っても人間なのだ。
そう思っていると、隣に誰かがやってきた。
髪の長い男の子。
無「泰葉、何か飲む?」
「えっと…時透様…でしたよね?」
泰葉はまだ名前に自信がない。
失礼を承知で確認した。
しかし、無一郎はムッとしている。
名前を間違えただろうか…。