第15章 柱
周りも、疑問が浮かぶ。
謝れられるのは当然泰葉の方だ。
でも、なぜ泰葉が謝る?
杏「なぜ、泰葉さんが謝るのだ?」
泰葉は顔を赤くして、
天元の時の涙とはまた別に、涙を溜めている。
「いえ、謝るのは私です!
いつか、お慕いした女性と口付ける筈の唇を…
治療のためとはいえ、私に口付けしなくてはならないと…
申し訳ありません…。」
つまりは、私なんかと口付けしてごめん、という事を言っているようだ。
蜜「泰葉ちゃん?
そ、それは…違うと思うわ?」
泰葉の言葉に天元は吹き出す。
天「そうだぜ泰葉、そうだとしたら煉獄の唇は好都合だ。
謝ることはねぇ!」
杏「宇髄!君は何も言わなくて良い!」
し「泰葉さん、煉獄さんの方は気にしなくても大丈夫です。
でも、唇を奪われたのは泰葉さんなのですよ?
もし、今回が初めてだとすれば…」
「…初めて、です。」
その一言に、またギョッとする一同。
『煉獄!!!』
また責められる杏寿郎であった。
ーーーーーーーーーーーー
杏寿郎が十分反省したところで、
天元の治療を続ける。
し「泰葉さんの力で一番強力なのは、血液だと言っていました。
先程、採血で貰った血があります。
この血液を服用してみましょう。」
しのぶは、試験官に入った血液を小皿に移す。
普通なら、他人の血液を舐めるなど嫌だろうが、元忍である天元には、何も問題なかった。
むしろ、誰の血か分かっているだけいい方だ。
天元は小指でその血を付けて、ぺろっと舐めてみる。
すると、カッと酒でも入ったように身体が熱くなるのが分かった。
そして、何より思ったのが…
天「…うまい。」