第15章 柱
その言葉に一同は驚く。
実「オイ、てめぇ鬼みてぇな事言ってんじゃねェ。
血にうまいもまずいもあるかよォ。」
天「いや、お前ら一度舐めてみろ。
普通の血じゃねぇ。何か果物のような味がする。」
一同は、嘘だろ…と、恐る恐る血を指につける。
本来なら、他人の血を摂取するのは感染症的にもよろしくは無い。
しかし、しのぶもこれは体感したかった。
ぺろっと皆舐めてみる。
杏「これが…血か?」
蜜「なんか、食べごろの柘榴のような…」
蜜璃の表現がしっくりきたのだろう。
皆うんうんと頷く。
泰葉は、自分の血をうまいと言われることに、複雑な心境だった。
そして、驚くのはこれから。
涙と比べ物にならないくらい、天元の腕はミシミシと音を立てて再生されていく。
5分も経たないうちに完全に戻っていた。
おぉ…と声を上げる一同。
し「あの血の量でこれだけの再生力…。
これは、鬼殺隊の生存率がぐんと上がりますね。」
行「素晴らしき力…。
しかし、この力には掟があっただろう。
鬼殺での負傷は例外だと言っていたが、本当にそうかは限らない。
一歩間違えば、死者も生き返るだろう力。
血液の使用は良く考えたほうが良いかもしれぬ。」
行冥は、もし例外でなかったとするならば、泰葉の寿命が削られてしまう。
そのことを危惧しているのだろう。
しのぶは頷いた。
し「泰葉さんの血液と、唾液にはそれぞれ他の人間には含まれていない成分がありました。
これを全隊士が服用できるようなものを作れれば、だいぶ状況が変わると思います。」
そして、泰葉の顔を見る。
し「泰葉さん、また血などを提供していただくようになりますが…大丈夫ですか?」
泰葉は大きく頷いて
「私がお役に立てる事があれば、喜んで!」
と胸を張った。
し「ありがとうございます。でも、無理はしないでくださいね。
私たち柱は、あくまでも泰葉さんを守る立場ですから。」
柱全員が、それに頷いた。
天「そういや、まだ名前もわからない奴もいるよな。
せっかくだ、自己紹介しようぜ!
時間はそんな無いから、名前と歳くらいでいいだろ!」