第15章 柱
その言葉に柱達は立ちあがる。
杏寿郎は泰葉の口を手で塞ぎ
無一郎は顎に添えられた手を弾く。
実弥は天元の顔を横に向け、
義勇においては抜刀しようとしていた。
蜜「だ、だめよ!
いくら治療だからって、女の子の唇を奪うなんて許さないわ!!」
しかし、それに天元が黙ってはいなかった。
天「おいこら!なんで煉獄は良くて、俺はダメなんだよ!!」
その言葉に一同は動きが止まる。
そして、一斉に杏寿郎へと注目が集まる。
泰葉も何のことか分からない。
サーっと青ざめる杏寿郎。
その様子を見て、しのぶは頭を抱え、
はぁ…とため息をついた。
天「あの状況で骨折した足が治ったって事は、口吸いしたんだろうが!」
し「煉獄さん、いつかは知られてしまう事です。
泰葉さんにも、ちゃんと伝えておいた方が良いですよ。」
柱達は、天元を解放して杏寿郎に注目する。
杏寿郎は正座をしている。
そして、泰葉に向かって土下座をした。
杏「泰葉さん!すまない!
熱で魘され、薬が飲めなかった為、俺が口移しで飲ませた!
その時の唾液で、俺の骨折した足が治った!」
潔いというか、ここまで溌溂とした謝罪は聞いたことがなかった。
柱達は目を見開き、ポカンとしている。
泰葉もポカンとしていた。
杏寿郎が薬を飲ませてくれた。
魘されて、うまく飲み込めなかったから
口移しで。
口移し…ということは、
口と口をつけたというわけで。
泰葉は口元を手で押さえて、ブワッと赤くなる。
杏「ただ!本当に、薬を飲ませようと思っただけだ!
やましい事があったわけでは無い、
それだけは分かってくれ!
後から胡蝶にも叱られた!
次からは気をつける!」
杏寿郎は泰葉から軽蔑されるだろうか、と心配になった。
しかし、泰葉の言葉は思っていたものと違った。
「あの…飲ませてくださって、ありがとうございました。
おかげで、こうして元気です。
ただ…私と口移しすることになり、申し訳ありません…」
杏寿郎はなぜ謝られるのか、わからなかった。