第15章 柱
3人「泰葉さん、こっちですー!」
シャボン玉しましょう、と準備してくれていた。
小さなストローでシャボン玉を作る。
沢山の小さなシャボン玉が舞い上がる。
午後の日差しに照らされてキラキラと光っている。
3人「きれーい!!」
大喜びな3人娘。
泰葉は職場でシャボン玉をした事を思い出した。
「大きめなタライと、洗濯石鹸ある?あと、針金も!」
そう言われて3人娘は準備してくれた。
タライに水を少し入れて、それに洗濯石鹸を溶かす。
針金で大きな輪っかを作る。
な「泰葉さん、それをどうするんですか?」
「見ててね!」
泰葉は襷で着物の袖を捲り、針金をタライの中に浸す。
そして持ち上げて横に振ると、大きなシャボン玉ができた。
す「すごーい!」
き「大きな飴玉みたいですー!」
な「もう一度お願いしますー!」
大興奮の3人娘。
その笑顔が嬉しくて、泰葉は張り切ってシャボン玉を飛ばした。そのシャボン玉は蝶屋敷にの入り口まで飛んでいっていた。
杏「む?シャボン玉か。
蝶屋敷の少女達が飛ばしているのだろう!」
蜜「シャボン玉、懐かしいわ〜!
私も混ぜてもらおうっと!」
蝶屋敷に来たのは、しのぶを除いた柱8名。
蝶屋敷に一般隊士がいなくて良かった。
「もっと大きいの作ろう!」
そう言って、3人娘と大人1人。
泰葉はなんとも大人が入れそうな輪っかを持っていた。
「ん…!重いっ!」
流石にシャボン玉液に入った針金は重かった。
ぐっと力を入れるが持ち上がらない。
3人娘の期待に応えたい泰葉は、目を瞑って力を込める。
すると、突然自分の手が温かいものに包まれて、針金ごとふわっと宙に舞う。
杏「そらっ」
大きなシャボン玉が出来上がる。
泰葉のすぐ後ろには杏寿郎がいた。
手を包んでいるのは杏寿郎の右手。
左手は泰葉の左肩を抱いている。
3人「きゃー!!すごいですーー!!」
今日一番の歓声だ。
この反応が見たくて、頑張ったのだけど…
泰葉は心ここに在らずだった。
後ろから抱きしめられるような一連の動きに、心臓が脈打ってうるさい。
シャボン玉液に手が濡れて、杏寿郎が握っている手は2人の間にぬるっとした感触を示す。