第15章 柱
声の主は、無一郎だった。
その隣には義勇。
後ろには行冥が立っている。
まさかの無一郎と、義勇も泰葉を取り合うと言うのだから、
杏寿郎達は驚いた。
そして、その様子に一番胸をときめかせていたのは、蜜璃。
蜜「すごいわ!泰葉ちゃんをめぐって5人も名乗りをあげるなんて!泰葉ちゃんはどうするのかしら?」
泰葉がこの事態を実感するのは、もう少し先のお話。
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蝶屋敷に向かうしのぶと泰葉。
まだ手を繋いだままだ。
し「こうして、人と手を繋ぐのはいつぶりでしょうか。
とても、懐かしい気持ちです。」
泰葉は少し遠い目をするしのぶに、胸がキュッとなる。
「人の手とは、自分の手で温めるより、ずっと温かくなりますよね。
心も。
私も先日、手を握られて緊張した気持ちが解れていきました。
私の手なら、いつでも貸しますからね!
抱きしめるんでも良いですよ!」
しのぶはふふっと笑った。
し「泰葉さん、私たちお友達でしょう?
敬語、やめにしませんか?
先日…というのは、ご両親が来た時に?」
「でも、しのぶさん柱なのに…」
しのぶは目で訴える。
「わ、分かったわ。
そう、両親が来た時に、煉獄家の皆さんも一緒に、1人で住んでいる家まで行ったのだけどね、攫われた後帰ってなかったから、とても怖かったの。
でも、杏寿郎さんが手を握ってくれた時、温かい手に安心して震えも止まったの。」
しのぶは目をパチパチさせた。
そして、微笑みながら
し「あらあら。
煉獄さんの手は温かいのね。」
と、何か含んだ独り言を言った。
蝶屋敷に着くと、アオイ達が出迎えてくれた。
3人娘は泰葉の周りをクルクル回っている。
「私の用事が終わったら、みんなで遊びましょうか。」
3人娘「はい!良いのですか⁉︎」
「もちろん!」
泰葉の返答に大喜びで、自分たちの仕事を済ませに行った。