第15章 柱
ようやく泰葉の手を離した実弥は、杏寿郎を見る。
なぜか2人には殺気が漂っていた。
実「俺に殺気を飛ばそうとは、いい度胸じゃねぇかァ。
この勝負、受けて立つぜェ。」
杏「いつまでも君が手を離さないからだろう!
勝負とは、何のことか分からないな!」
互いに、口元は笑っているが目が笑っていない。
泰葉はどうしたのかと、オロオロするしかなかった。
すると、ふわりと泰葉の隣に蝶が舞い降りる。
し「あらあら、殺気立った男性は嫌われますよー?」
杏寿郎と実弥に呼びかけるように、しのぶは言う。
その声に2人はようやく殺気を消した。
「ありがとうございます、しのぶさん。
喧嘩が始まるのかと思いました。」
微笑む泰葉に、あなたがその原因なのだけど…と少し困ったように笑った。
し「いえいえ。泰葉さんにお話があって…
お館様からお話は聞きました。
一度色々調べたいので、蝶屋敷まで来ていただきたいのですが、お時間大丈夫でしょうか?」
泰葉は杏寿郎を見る。
杏寿郎の許可をいちいち取らなくても良いとは思うが、今回は連れてきてもらった身だ。
杏寿郎は頷く。
杏「あぁ、大丈夫だ。一緒に行こう。」
杏寿郎が泰葉に蝶屋敷に同行しようとすると、しのぶがそれを制した。
し「申し訳ありませんが、煉獄さんはこちらに残ってください。
柱達が緊急招集をかけられています。
内容は泰葉さんのこと。
私は既に内容を知っていますので、参加しませんが、泰葉さんの事を詳しくご存知なのは煉獄さんです。
お館様があのような状況。
煉獄さんが説明された方が良いかと思います。」
杏「むぅ。」
実「あ゛ァ?まだ泰葉には秘密があんのかよォ。」
実弥は杏寿郎としのぶの会話を聞いて、面白くなさそうだ。
すると、また後ろの方から聞き覚えのある声がする。