第14章 お館様
泰葉と杏寿郎は着物の入った桐の箱を抱えて、咲子の家へと戻った。
「戻りました!
奥さん、お部屋を整えてくださって、ありがとうございます。」
泰葉が頭を下げる
咲「戻ってきて、嫌な思いをまたしたら私も嫌だったから…。
勝手に入ってごめんなさいね。」
そして、泰葉は咲子に手伝ってもらいながら、3着の着物を着てみせた。
煉獄家3人は、とても満足そうに見ていて、それぞれ
( 自分の選んだやつが一番似合っている!)
と、思っていた。
花「どれも素敵だったわ!
こんなに似合うお着物を贈ってもらったなんて、素敵ね!」
智「あぁ!3着も戴いていたとは知りませんで…。
ありがとうございます。」
両親は頭を下げる。
杏「いえ!私は泰葉さんに命を救われましたので!」
千「僕は看病をしていただきましたので!」
槇「何より、煉獄家を救ってくれましたので、礼には及びません。」
咲「たくさんお着替えをして、花嫁衣装を選ぶ気分だったわ!」
その一言で泰葉はボンっと赤くなる。
「もう!すぐに結婚の話になるんだから!」
そんな泰葉を見て、杏寿郎もなぜか赤くなる。
杏( 泰葉さんの花嫁姿…さぞ綺麗だろうな。)
想像しただけでニヤけてしまいそうだ。
しかし、その隣は誰だろうか…
知らぬ男と…
そう思ったら
モヤっとした。
杏(…ん?)
その時、『カァー!』と鴉が鳴く。
杏寿郎の鴉、要だ。
杏「む?…失礼します。」
杏寿郎は窓を開けて要を腕に止まらせる。
脚に手紙が括られていた。
杏寿郎は中を読み、泰葉の方を見る。
杏「泰葉さん、明日の昼に俺と一緒に来て欲しい。
お館様がお呼びだ。
泰葉さんについて話がしたいとのこと。
大丈夫か?」
泰葉は、頷いた。
「分かりました。」
とうとうこの時がきた…
鬼殺隊の当主。
一体どんな人なのだろうか…。
本当は泰葉の家に両親が泊まって行く予定だったが、
明日また杏寿郎と出なくてはならなくなったので、一行は煉獄家に向かうこととなった。
途中、呉服屋に寄ると、泣いて無事である事を喜ばれたのは言うまでもない。