第13章 能力
その後の夕食も、実に賑やかだった。
珍しく杏寿郎も父2人と酒を飲み、楽しげである。
そして、ご飯を食べては
「うまい!」
と叫ぶものだから、初めは泰葉の両親も驚いていた。
しかし、
智「そうだろう!
花枝も料理上手だが、泰葉もどんどんと上手くなっていくんだ!」
槇「瑠火も料理上手だった!
杏寿郎、妻をもらう時は料理上手な方が良いぞ!
食事は生きる基本だからな!」
杏「はい!俺もそう思います!」
と、盛り上がっている。
泰葉と花枝、千寿郎はその様子をニコニコしながら見ていた。
千「とても楽しそうですね!」
花「えぇ。智幸さんも最近はお酒を飲まれなかったから、久しぶりで楽しいのでしょう。」
「そうなの?」
智幸は量は飲まないが、いつも少しだけ嗜む。
花「こう言っては何だけど…泰葉に心配なことが多かったから…」
泰葉は何も言えなかった。
この歳でこんなに心配をかけようとは…
槇「そうだ、花枝さんと泰葉さんも飲んだらどうだ?」
杏「そうです!お嫌いでなければ…」
すると、花枝が
「私はいただきますが、泰葉は外では飲ませないと決めておりますので!」
と、言葉を強めた。
それに驚く槇寿郎と、杏寿郎。
智「泰葉は酔いやすいのです。
ここでその姿をお見せするわけにはいきませんので…
お気持ちだけで。」
泰葉も眉を下げて「すみません」と微笑んだ。
そう言われると、見たい…と思う2人だった。
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食事も済んだところで、片付けている千寿郎と泰葉。
千「…先程の話ですが…。」
千寿郎の言う先程の話とは、西ノ宮家の話。
千「兄上を助けてくださったのは泰葉さんだったのですね。
兄上は、列車に乗った日の事を話してくれた時、泰葉さんの事を救世主だと言っていました。」
「救世主なんて…そんな大層なものではないよ」