第13章 能力
その治癒能力は、力が働くというより、人間に流れているものだ。
智「主に、涙、血液など…
体の中に、通っているものに治癒の効果があるとされています。
義兄の話では、身体から分泌されるものであれば、治癒能力はあると。」
そして、その中でも最も治癒能力が高いのは
血液。
そのため、西ノ宮の血液を鬼が吸収し、新たな力を持ってはいけないと、一滴の血も残す事は許されなかったのだ。
杏寿郎は、なるほど…と納得していた。
杏「私は無限列車での戦いで、一度死にかけました。
その時、泰葉さんが私の致命傷となる箇所を、泣きながら撫でたことにより、完治しておりました。」
槇「そういう事だ。泰葉さんの涙により、お前は救われた。」
智「しかし、この治癒能力には掟がありました。」
この能力において、やってはいけない掟。
それは、道理に背いた治癒をしてしまう事。
智「簡単に言えば、
寿命の者の延命
死者の蘇生
命に関わる病気の治癒
これを5回行なってしまうと、その者は寿命が半分になると言われています。」
槇「…半分」
智「以前は鬼殺隊にその治癒力を提供していたこともあったそうです。
しかし、鬼舞辻に勘付かれそうになり、そこからは提供はなくなったそうですが…。」
鬼というのは、そもそもとして存在するはずの無い者。
その鬼にやられたことに対する治癒は、道理に背いていない。
杏寿郎はここまでの話で疑問があった。
杏「今回、吉原に鬼が出現しました。
それによって、泰葉さんは怪我を負った。
しかし、傷は治らなかったのは…
自分の中に流れる治癒力は働かないのでしょうか?」
花「はい。基本的には、この治癒力は他人に対してのみ。
自分には働きません。」
杏「自分自身を治す方法は?」
智幸は少し戸惑う。
「それは、あるのにはありますが…。」
その方は1つ。
それは、自分の適合者を見つけ出す。
西ノ宮の一族の傷を治す事ができるのは、その適合者のみ。
しかしそれを見つけ出すのは至難の業。
基本的には適合者と思われる者と、許婚を結ぶ。
だが、やはり適合者を見つけ出すことができず、そのまま婚姻を結ぶことが多かったという。
杏「その…適合者は、この世に1人しかいないのですか?」