第13章 能力
智幸はことの成り行きを話し始めた。
無限列車の件は手紙により知っていた。
まずは怪我などの治療が優先のため、落ち着いたと連絡があってから、泰葉のところに出向こうと思っていたところだった。
智幸達の住んでいる場所は、東北地方。
列車に乗らなければ行くことができない。
時間もお金もかかるため、
盆と正月に互いが行ったり来たりしていた。
しかし、このように急いできたのは
泰葉が攫われた、と手紙が届いたからだ。
送り主は、泰葉の隣に住んでいる奥さんだった。
以前、顔を合わせたときに、泰葉に何かあったら知らせてほしいと、住所を教えていた。
そして、今回の知らせを受けた。
智「泰葉が攫われたと聞いた時、心臓が止まったかと思いました。
そして、そこに煉獄様にも探す協力を頂いているとありましたので…」
一度家に行ったのだが、まだ帰っていないということで、煉獄家に急いできたというわけだ。
智「泰葉を救っていただき、ありがとうございました。」
両親は深々と頭を下げた。
杏「いえ、今回の人攫いの件では、泰葉さんを救ったのは、私の同僚の宇髄という男です。」
槇「ご両親なので、正確に申しますと…
人攫いをしたのは、松本家の跡取り、祐一という男でした。」
その名前を聞いて、青ざめる両親。
花「その方は…
泰葉に15回も見合いを申し込んできた方です…。」
煉獄家はギョッとした。
断られた見合いに15回も申し込む…
異常である。
杏「泰葉さんは、その男に違法な遊廓に売られたそうです。
そして、そこで見受けをして娶ろうと…」
違法な遊廓…
両親は泰葉を見た。
目が、まさか…と言っている。
「安心して。確かに店に立たされたわ。
でも、何かされる前に宇髄様が助けてくださったから、大丈夫よ。」
泰葉は安心させようと微笑んだ。
花枝は泰葉の手をギュッと握る。
智「その、宇髄様も鬼殺隊で…?」
槇寿郎達は目を見開く。
槇「鬼殺隊を…ご存知なのですか?」