第13章 能力
天元と泰葉は目があった。
天元の顔をよく見たのは始めてかもしれない。
整った顔立ちだとは思っていたが、
思ったよりずっと美丈夫だ。
傷がついているが、人形のようである。
じっと見つめる泰葉に、珍しく天元が少し照れる。
天「お?もしかして、俺の嫁になる気になったか?」
そう言って、泰葉の頬に手を添えた…
その時
バンっ
勢いよく扉が開く。
2人が目を丸くして扉を見ると、
杏寿郎としのぶの姿。
天「煉獄、今いいとこだったろぉが。」
杏「宇髄、君は何を!」
し「煉獄さん、今はそれどころではありません。
泰葉さん、急いで着替えてください!
あなたのご両親が煉獄さんの家に来ているそうです!」
泰葉は頭がついていかなかった。
両親が来ている?
しかも、なぜ煉獄家に?
考えている間も無く、しのぶに手を引かれ
着替えを急かされた。
夜に攫われ遊廓にいたので、
とりあえずしのぶの着物を借りることにした。
「しのぶさん、ごめんね。
今度返しにくるね。」
し「気にしないでください。
熱も下がっているし、傷も消えているので今まで通り過ごして大丈夫です。
でも、良かったですね。ご両親がいらっしゃって。」
「うん。でも…どうして突然来たのかしら?
今回の件では私、まだ手紙も出してなかったのに…。」
しのぶと泰葉は首を傾げた。
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支度が済んで、入り口まで行くと
杏寿郎が待っていた。
「お待たせしました!」
し「煉獄さん、泰葉さんの体調に異変があったらすぐに来てくださいね」
杏「うむ!承知した!
では、泰葉さん、行こう!」
そう言って泰葉を横抱きにする。
「えっ…走るのでは…?」
杏「あぁ!走るぞ!
だからよく捕まっていてくれ!」
そういうと、
ドンッと衝撃と共に、杏寿郎はものすごい速さで走り出した。
周りの景色がビュンビュンと変わっていく。
泰葉は目を回しそうだったので、ぎゅっと目を瞑り杏寿郎の隊服にしがみついた。