第13章 能力
「ごめんください!!!」
大きな声に驚き、千寿郎が玄関を開ける。
すると、門の前に手を膝につき、息を切らした男女が立っていた。
千寿郎は慌てて2人に、駆け寄る。
千「…こんなに急がれて…いかがなさいましたか?」
只事ではないと、槇寿郎と杏寿郎も玄関へと駆けつける。
槇「どうした?」
杏「千、この方達は?」
男女はハァハァと息を落ち着つかせながら、顔を上げた。
そして、男性は口を開いた。
「わ、私たちは…ハァ…
西ノ宮泰葉の育ての親でございます!」
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泰葉は天元の所へ訪れていた。
コンコンと戸を叩く。
天「…どーぞ」
声がしてから、扉を開ける。
「宇髄様…今大丈夫ですか?」
天元はニカっと笑う。
天「おう。少し話そうぜ。」
泰葉はそう言われて、ホッとしながら
ベッドの横の椅子に腰掛けた。
頭から左目にかけて包帯が巻かれている。
「もしかして…左目は…」
天「あぁ、これな。」
天元は泰葉の記憶がある事は、しのぶから聞いていた。
泰葉は堕姫の姿しか見ていなかったので、その後の話をした。
「…そうだったのですね。
私、早々に煉獄様に運んでいただいて…
私が負傷していなければ、煉獄様もそのまま戦えていたのに…」
自分のせいで戦力を欠いたと思っているのだろう。
天元は胸が苦しくなった。
天「あのな、もし、泰葉のせいで俺たちが怪我をしたと思っているなら、大きな間違いだぜ。
俺たちは、泰葉がいて守らなきゃならねぇって思ったから、士気も上がったってもんだ。
それにできる限り戦ってくれてたおかげで竈門も死なずに済んでる。
泰葉があそこに居なかったら、そもそも煉獄は来ないはずだったんだ。」
そう言って、泰葉の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
癖のある黒髪が乱れる。
泰葉は大きな手で撫でられ、安心することができた。
「そう言っていただけて、少し心が軽くなりました。」