第11章 救出
禰󠄀豆子はそのままグンっと飛び上がり、天井を突き破って行った。
杏寿郎もその後を追おうと泰葉を横抱きにしたが、グッと堪えた。
泰葉の身体が限界だと思ったからだ。
杏寿郎の元に天元がくる。
杏「俺はこのまま蝶屋敷へと向かう。
泰葉さんは止血ができていない。
竈門少女の、様子が気になるが…」
天「兄ちゃんが何とかするだろう。
それよりも急いでやってくれ。」
杏「あの鬼は奇妙だ!気をつけろ!
もし間に合えば、援護に向かう!
…死ぬなよ。」
天「おう!」
そして、天元は炭治郎達を追って上に上がって行った。
杏寿郎と泰葉は蝶屋敷へと向かう。
泰葉は着物のお陰で致命傷にはならななったが、普通の人間が負うには深い傷だった。
そして、血が止まらない。
白い襦袢はだいぶ赤くなっている。
失血のせいか、体も震え始めた。
杏寿郎は一度立ち止まり、自分の羽織を外し、泰葉に被せた。
体をギュッと抱きしめ、また蝶屋敷へと走り出す。
杏(頼む、間に合ってくれ。)
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蝶屋敷では、杏寿郎の鴉からの連絡があり
しのぶが待機していた。
バンっと入口が開けられた。
その音を聞きつけ、しのぶが顔を出す。
し「煉獄さん、すぐこちらに!」
杏寿郎は急いで指示のあった部屋へと泰葉を連れて行く。
泰葉の襦袢はもちろん、被せられた羽織にも血が滲んでいた。
大きな傷は胸元と、太ももの2箇所。
その他にも細かい切り傷がいくつもあった。
し「泰葉さんは、戦ったんですか?」
杏「あぁ、おそらく!
俺がついた時には、竈門少女と鬼の間にいた!」
しのぶは眉間に皺を寄せた。
(どうして、関係ない人まで傷つかなくちゃならないの…!)
し「煉獄さん、治療を始めます。
部屋の外で待っていてください。」
杏「承知した。
しかし、宇髄達の援護にも行きたいのだが…」
し「泰葉さんは、大量の出血があります。万が一の場合、血を集めなくてはなりません。
なので、その時に駆け回れる人が必要です。
可能であれば、しばらくは残っていただきたいのですが…」
杏「…わかった。
小芭内に終わり次第すぐ援護に向かってもらうようにする。」