第11章 救出
堕「あぁっ!痛い!
柱がもう1人⁉︎そんなのは聞いてないわよ!」
杏寿郎に斬られ、悔しそうに踠いている。
杏寿郎は泰葉を横抱きにしたまま、炭治郎に向かって叫んだ。
杏「竈門少年!目を覚ませ!
君の妹は、君にしか制御できない!
自分の責務を全うしろ!!」
『兄ちゃん助けて…
姉ちゃんが、姉ちゃんじゃなくなる。』
堕姫は帯で禰󠄀豆子に斬りかかる。
細かく切り刻んで帯に取り込もうとしていたのだ。
四肢が、切断されてバラバラになる禰󠄀豆子。
泰葉は思わず、杏寿郎の胸元に顔を埋めた。
杏寿郎も、鬼である禰󠄀豆子は再生できるので死なないとは分かっていても、眉間に皺を寄せた。
「竈門少年!!!」
その時、堕姫がいきなり燃え始めた。
禰󠄀豆子の返り血を浴びて、血鬼術により燃え上がったのだ。
禰󠄀豆子の身体は血が固まり、完全にバラバラにはならず、帯の端を掴んで離さなかった。
その間に血が四肢を引き戻すように繋がり、傷跡も綺麗に消えている。
燃えている堕姫の側に寄る禰󠄀豆子。
その頭を何度も踏みつける。
そして建物の方へと蹴り飛ばした。
「起きろ!竈門炭治郎!!」
杏寿郎が叫ぶ。
杏寿郎達が禰󠄀豆子を止めるのは無理だ。
止めるとしたら頸を斬るしかない。
しかし、杏寿郎はそれは避けたかった。
無限列車での禰󠄀豆子の姿を見ている。
だから、どうしても炭治郎に止めて欲しかった。
堕姫を追う禰󠄀豆子。
ハーッハーッと、息をする姿からして極度の飢餓状態だろう。
すると、建物の中に怪我をした女性。
その姿を見た禰󠄀豆子は一気に飛びかかろうとする。
杏「まずいっ」
杏寿郎は泰葉を降ろし様子を見ていたが
もう限界だろう。
人を襲ってしまえば、元も子もない。
カチャンと、刀に手をかけたその時。
炭「禰󠄀豆子!!!!」
炭治郎は自分の刀の鞘を、禰󠄀豆子の口に咥えさせた。
炭「だめだ!耐えろ!!」
禰󠄀「ガアァ!!グワゥ!!」
炭「ごめんな、戦わせてごめん…」
炭治郎は至る所から禰󠄀豆子の血の匂いがする事で、どれだけ傷つけられたかを感じていた。
炭「兄ちゃんが誰も傷つけさせないから!
眠るんだ、眠って回復するんだ!」
禰󠄀豆子はもがきながら、炭治郎を背負うような体勢になる。
炭「ねず…」