第11章 救出
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禰󠄀豆子は鬼化が進み、ただひたすらに堕姫に向かっていく。
「禰󠄀豆子ちゃん!
禰󠄀豆子ちゃん、お願い!止まって!」
堕「あんた、本当に何なの⁉︎」
堕姫はイライラが積もる。
禰󠄀豆子の攻撃は蹴ることが中心。
その際、帯で足や胴を切断されてしまっていた。
泰葉は初めて切断されたのを見た時、ショックのあまりガタガタと震えたが、すぐに再生されていくのを見て、禰󠄀豆子は鬼であり、命を落とすことはないのだと分かった。
しかし、泰葉は鬼について詳しく知らない。
いつまでも再生できるのか…
いつか禰󠄀豆子に限界がきてしまうのでは…と怖くて仕方なかった。
泰葉は禰󠄀豆子と堕姫の間に入る。
堕「人間のあんたが間に入っても意味ないわよ。
鬼同士だもの。
いじめないであげる。」
泰葉に向かって帯が刺してくる。
それを避けながら禰󠄀豆子に呼びかけた。
しかし、禰󠄀豆子は聞こえていないのか、堕姫しか見ていない。
禰󠄀豆子は一気に堕姫の目の前まで行き、大きく足を振りかぶった。
堕「馬鹿の一つ覚えね。」
堕姫は禰󠄀豆子の足を切断した。
しかし
ドゴッ!!
堕「ゲウ!!!」
堕姫の身体は地面に打ち付けられ、禰󠄀豆子の足は堕姫の背中に貫通していた。足はすぐに再生されたのだ。
気づけば、禰󠄀豆子の体に葉のような模様が蔦のように刻まれている。
今の禰󠄀豆子は正常じゃない。
どうにか目を覚まさせないと…!
堕姫の背から足を引き抜く禰󠄀豆子。
そして、ニヤァッと笑った。
「禰󠄀豆子ちゃん!お願い!
目を覚まして!!」
面識のない泰葉が禰󠄀豆子の目を覚まさせるのは、無謀なことであった。
堕「どけ!このガキ!!」
堕姫の帯が泰葉と禰󠄀豆子を貫こうと、鋭く向かってくる。
泰葉は逃げようと思ったが、すごい速度に間に合いそうにない。
(もうだめだ…っ)
そう思い、目を瞑った。
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!」
声が聞こえたと思った時、泰葉の身体はふわりと浮いた。
泰葉は、不思議に思って目を開ける。
月明かりに逆光になり顔は見えないが、ふわりと揺れる金色の髪。
「…杏寿郎…さん…?」