第10章 覚醒
泰葉はギリギリのところで躱す。
泰葉の攻撃は素手で行うため、至近距離にいかなければ無意味である。
この帯を相手にすると、鋭い刃物のようになったり、ぐねっと唸ったりするので、不利だ。
いくつもの帯が勢いよく向かってくる。
泰葉は避ける。
堕「逃げてばかりじゃ、自滅するわよ。」
堕姫はにやにやと笑いながら泰葉に攻撃をする。
一方で炭治郎は、自分の力を奮い立たせていた。
泰葉さんが戦っている…!
記憶を取り戻したのか⁉︎
いや、それよりも自分の体力を回復させろ…!
回復の呼吸…
体温だ…
体温を上げろ!
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炭治郎は蝶屋敷にいた時、熱を出していた。
しかし、身体は至って元気。
きよは炭治郎を心配し、しのぶに報告しようとしていた。
き「私、しのぶ様に言いますから…。
この体温計を見てください。
38度です。ずっと…」
炭「ま、待ってくれないかな⁉︎
…じつは、身体は本当に調子がいいんだ。
ヒノカミ神楽を連続して使える。
もっと強くなれるかもしれないんだ。
だから、お願い!!!」
き「…分かりました…」
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炭治郎は立ち上がり、構えを取った。
炭治郎が立ち上がったことに気付く堕姫。
堕姫は炭治郎に向かって帯を放つ。
泰葉はその隙を見て背中に拳を入れる。
人間であれば、背骨が粉砕されているが、流石は鬼である。
すぐに再生されていくのがわかった。
泰葉には鬼の頸を切ることができない。
ならば、それまでの鬼の足止め、もしくは隙を作ることしかできない。
堕「しぶといわね。思ったよりも面白いわ。」
帯は泰葉と炭治郎双方に飛んでくる。
泰葉は先に当たらないようにして蹴りや、拳を入れていく。
炭治郎も攻撃を受け流し、帯を切りつけていく。
ヒノカミ神楽なら通用する…
いや、通用するだけじゃだめだ!
勝つんだ!
命を守るために
堕姫「不細工は頑張っても不細工なのよ。」