第10章 覚醒
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杏寿郎達は、天元の鴉からの伝達により、
誰が吉原へと迎えに行けるか、鴉を通してやりとりをしていた。
生憎、鬼の出現が多く柱達も出払っている。
甘露寺か胡蝶がいいという指名であったが、蜜璃は遠方に出ていて、しのぶは屋敷にはいるが、怪我人が多く出る事ができないという。
他の男の柱達と、杏寿郎も任務に出ている。
杏「一番、吉原に近いのは俺か…小芭内か…。」
皆、泰葉のことが心配でならなかった。
何かあったら…と気が気では無かった。
とりあえず、迎えは杏寿郎か小芭内が行くこととし、先に任務が終わった方が駆けつけるという事になった。
杏「早く鬼を片付けなければ…」
杏寿郎ももちろん心配でならなかった。
槇寿朗の飛ばした鴉からの手紙で、何があったのかは分かったが、まだ泰葉は吉原に身を置いている。
吉原はまずは下働きからだと聞いたことがあるが、泰葉の容姿だ。
もしかしたら客を取らされているかもしれない。
そして、鬼に襲われでもしたら…?
記憶をなくしている泰葉は以前のように戦う事はできるのか…?
杏寿郎の頭はぐちゃぐちゃだった。
隊「…炎柱様?大丈夫ですか?」
複雑な表情で考える杏寿郎に隊士は声をかける。
その声にハッとして、杏寿郎は頭を切り替えた。
杏「あぁ!大丈夫だ。
さぁ、気を引き締めていくぞ!!」
そう言って、鬼を探しに向かった。
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切見世…
雛鶴に薬を飲ませる天元。
天「本当に大丈夫だな?」
雛「はい。お役に立てず、申し訳ありません…」
雛鶴は蕨姫が鬼と気づいたが、向こうにも怪しまれ、目をつけられてしまった。
自ら毒を飲み、病にかかったフリをして京極屋から出ようとするも、別れ際に蕨姫から帯をもらった。
監視、及び殺害を目的として…
何があればすぐに始末できるようにと…