第10章 覚醒
鯉夏の部屋では…
堕「あら、鬼狩りの子?
来たのね。そう。」
炭治郎は匂いを辿り、鯉夏の部屋の窓に降り立った。
そして、炭治郎は目を見開く。
炭( 泰葉さん!
そして鯉夏さんまで…これはどうなっているんだ⁉︎
身体が…ない!)
堕「ねぇ、柱はきてる?
柱じゃないやつは要らないのよ、分かる?」
鯉夏は帯に締め上げられて、見えるのは頭だけになっている。
堕「私は汚い年寄りと、不細工は喰べないし。」
炭「その人達を放せ!!」
炭治郎の命令口調が気に食わない堕姫は、声を荒げる。
堕「誰に向かって口を利いてんだ!お前は!!!」
ビュンッと帯が炭治郎に向かう。
咄嗟に受け身をとるが窓から、隣の建物の壁に打ち付けられてしまう。
炭「がはっ…」
はやい…見えなかった。
手足に力が入らない…
身体が痺れて…
落ち着け…!!!
炭治郎は自分に言い聞かせた。
あの鬼の武器は帯だ。
異能がある。帯が通れる隙間さえあれば人を攫える…。
分析しながら立ち上がる炭治郎。
泰葉は堕姫に捕らえられたまま、炭治郎を見つめる。
( 炭治郎くん…!)
堕「ふぅん、立ち上がれるの。
思ったよりは骨がある。
目はいいね。綺麗。
目玉だけ穿り出して喰べてあげる。」
堕姫は泰葉をドサリと落とし、炭治郎との戦闘態勢に入った。
堕姫の中では泰葉は所詮一般人。しかも女。
自分に害はないと思っていたのだ。
泰葉は幸い無傷。
しかし、鯉夏はすっかり帯に取り込まれてしまっていた。
炭治郎は禰󠄀豆子の入った木箱を下ろす。
炭「禰󠄀豆子、ごめん。
肩紐が千切れた。背負って戦えない。
箱から出るな。
自分の命が危ない時以外は!」
箱の中では、兄を思い不安げな禰󠄀豆子がいた。
そこへ堕姫の帯が勢いよく向かってくる。
炭「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮・乱!」
炭治郎は何とか帯を躱しながら、鯉夏の取り込まれた部分の帯を切り落とす。
堕「…上手に切ったわね…」
堕姫は不気味に笑った。