第10章 覚醒
炭「それでいいか?」
伊之助はグッと炭治郎の目を見る。
伊「お前の言ったこと全部な…
今俺が言おうと思ってたことだぜ!」
2人はまた、自分の店に戻っていった。
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その頃、泰葉は逃げ出すのにバレないよう、準備をしていた。
(見つからないように走っていけるかしら…)
すると、背後に気配がした。
振り返ると、そこに居たのは…
「あらあら、もう居なくなっちゃうの?」
蕨姫花魁だった。
「どうして…ここに…」
蕨「居なくなっちゃうと思って、喰いにきたのよ。
美味しいのは美味しいうちにね。
でも、今日は他の店にも居なくなっちゃうのがいるから、一緒に来てもらうわ。」
そういうと、蕨姫花魁…改め、堕姫は泰葉を脇に抱えて窓から飛び出した。
ときと屋の窓に飛び移る。
中には1人の女性がいた。
ときと屋の鯉夏花魁。
鯉夏は今まで誰かと話していたようだった。
堕姫の気配に気づき、振り返る。
「忘れ物?」.
堕「そうよ。
忘れないように、喰っておかなきゃ。」
すると、堕姫から帯が伸び、鯉夏の身体に巻きつく。
「鯉夏さん!!!」
泰葉は叫んだ。
このままでは、鯉夏はどうなってしまうのだろうか。
泰葉は堕姫の腕から抜けようと、身体を捩らせる。
しかし、全く動かない。
堕「ねぇ、動かないでくれる?
あんたも次に帯に入れてやるから。」
帯に入れる。
つまりは、すぐに喰っているわけではなさそうだ。
『う…ぅ…』
鯉夏の苦しそうな声が聞こえる。
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炭治郎は屋根の上に登る。
服装はいつもの隊服に戻っている。
炭( まずい、殆ど陽が落ちかけてる…)
陽が、沈めば鬼の動きは活発になってしまう。
その前に鬼の居場所だけでも突き止めたい所だ。
炭( 早く、伊之助の所へ…)
ピクッ
炭( …匂いがする…。
鬼だ!鬼の匂いだ!!近くにいる!)