第10章 覚醒
次の日の昼間
炭治郎と、伊之助は屋根の上にいた。
伊「だから!俺のところに鬼がいる!こーんなのだよ!」
伊之助は身振りを入れながら、炭治郎に説明をする。
炭「うん、でも…そろそろ宇髄さんと善逸
定期連絡に来ると思うから…」
宇「善逸は来ない。」
「「!!」」
全く気配がなく、すぐそこに天元がいることに気づかなかった2人。
炭「…どういうことですか⁉︎」
すると、天元は神妙な表情をする。
宇「お前たちには、悪いことをしたと思っている。
嫁を助けたいが為に、いくつもの判断を間違えた。
善逸は行方知れずだ…。
お前らは花街から出ろ。今日の夜泰葉を逃す。
ここにいる鬼が上弦だった場合、対処しきれない。」
上弦の鬼は、柱3人分の力だと言われている。
数字が低いほど力が強い。
天元と2人の力を加えても、到底及ぶ相手ではなくなってしまう。
炭「いいえ!宇髄さん、俺たちは…」
そう言いかけた時
宇「恥じるな。生きている奴が勝ちなんだ。」
伊「待てよ!オッサン!!」
天元は姿を消してしまった。
炭「俺たちの階級が一番下だから…」
少し落ち込む炭治郎。
しかし、伊之助が
「俺たちは、下から4番目の庚だぞ。」
階級を示せ。と伊之助が唱え、拳を握ると
ググッと手の甲に階級が浮かび上がり
庚
と示されていた。
これは藤花彫りというもので、鬼殺隊の証である。
炭「何それ!!」
鬼殺隊に入ってしばらく経つが、初めてそのシステムを知る炭治郎だった…。
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炭「…建物の中に鬼の通路があると思うんだよ。」
伊「通路?」
炭「そうだ。店に出入りしていないということは、鬼は中で働いている者の可能性が高い。
鬼が店で働いていたり、巧妙に人間のふりをしていればいる程、
人を殺すのに慎重になる。
バレないように。」
2人は人間のふりをしているであろう、鬼の動きを考える。
炭「俺は、善逸も宇髄さんの奥さん達も、みんな生きていると思う。
そのつもりで行動する。
必ず救い出す。
だから、伊之助にもそのつもりで行動してほしい。
そして、絶対に死なないでほしい。」