第9章 遊廓
ふぅ、吐息を吐き、落ち着く天元。
そして、話の続きをする。
天「この騒ぎが落ち着いたら、この店を通報する。
ここの女達も、助かるようにする。だから、心配するな。」
泰葉はほっとした。
これであの子達は、家に帰れる…。
天「ちなみに聞くが、鬼について…何も知らないよな…?」
泰葉は考えた…。
まだ日が浅いので、特別喋った相手もいない。
喋ったとするならば
蕨姫…
すると、天元は首筋に息を吹きかける。
「んっ…あ…」
自分でもびっくりするような甘い声。
思わず手を口に当てる。
天「へぇ、派手にいい声出るじゃねぇか。」
悪戯っぽい笑みを浮かべる天元。
「もう!人がせっかく思いだそうとしているのに!」
「鬼、というわけではないですが、今日変わったことがありました。」
泰葉は天元の耳元で、今日の蕨姫花魁との話をした。
「私がここを出るなら、その前に食べてあげないと…そう言われました。」
その言葉にピクリと反応する天元。
天「ありがとう、それだけ分かりゃぁ十分だ。
くれぐれも気をつけろよ。」
天元がそう言うのを見計らったかのように、大引きの拍子木がなる。
寝る時間となったのだ。
本来ならば天元も泊まり楽しむ時間だが、今回はその目的ではない。
天「俺も任務じゃなくて、お前も遊女なら楽しんで帰った所だが、気持ちを無視して、生娘襲うつもりはねぇよ。
じゃ、明日また来るからな。」
そう言って、ふっと煙を巻くように天元は姿を消した。
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天元は、柱達に鴉を飛ばした。
『泰葉を確認。
吉原にいる
明日の夜、吉原を出す。
胡蝶、甘露寺が好ましいが、
行ける者は入り口に
迎えを頼む。』
泰葉は京極屋の蕨姫花魁が怪しいと言っていた。
そこは雛鶴と、善逸が向かっている。
今日、善逸の報告を待つとするか。
しかし、善逸からの連絡が来る事はなかった。