第9章 遊廓
祐一の家、松本家は商業をやっており、それなりに繁栄した一族であった。
それは以前、槇寿郎に鬼から一族を救ってもらったことで、このように繁栄することができた。
そのため、煉獄家に頭が上がらないのだ。
祐「…くそ!ふざけるなよ!!」
そう言いながら、祐一は走って店を出ていった。
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泰葉はカタカタと震えていた。
天元は手を取って体を起こしてやり、落ち着くまで待った。
「宇髄様…ありがとう…ございました。」
少し落ち着き、泰葉が礼を言う。
天「いや、俺がもう少し早くここに来られると良かったんだが。
アイツは知り合いか?」
泰葉は頷き、見合いの件を話す。
天「マジかよ。派手に気持ち悪いやつじゃねぇか。」
話を聞いて目を丸くした。
天「…ゆっくり話したい所だが…
泰葉、俺のこと怖いか?」
唐突な質問に、首を振る泰葉。
するとフワッと抱きしめられた。
天「誰かに聞かれる訳にもいかなくてな。
悪いがこのまま聞いてくれ…。」
耳元で囁くように話す。
泰葉は顔を真っ赤にし、コクコクと頷いたが
正直、この状態を長時間は無理だと感じた。
天「よし…。
まず、俺らがいるという事は、この吉原に鬼が潜んでいるって事だ。
しかし、まだしっぽが掴めていねぇ。
いつ泰葉も被害に遭うか分からない。
明日の夜、俺がまた来て泰葉を逃すから吉原を出ろ。」
泰葉は頷いた。
「でも、宇髄様…この店の女の子、全員ひとさら…ひゃんっ!」
泰葉がこの店の密告をしようとした時、天元が耳に息をかけた。
「な、何を!」
天「ここが違法なのは分かってる。
それに、あくまでもお前は客を取ってる身だ。
一つも喘ぎ声が聞こえないのは怪しまれる。」
ちょっと忘れかけていたが、ここはそういう所だ。
そして、この店は違法。
密告でもされたら、店は潰れる。
「あ、喘ぎ声なんて…。」
顔を赤くして戸惑う泰葉に
天「…お前、生娘だな?」
生娘…まだ経験のない女性のこと。
「悪いですか⁉︎」
その反応に
天「マジかよ…。それで客取らせてるって、どんだけ酷い店なんだ。」
天元が青筋を立てて怒った。