第9章 遊廓
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一方槇寿郎と千寿郎は、祐一の家である松本家に来ていた。
先に天元の鴉により、今回の騒動は祐一が引き起こしたことが分かった。
女性を追い回し
人を攫い
挙句に遊廓へ売り飛ばす。
実に非道な事だった。
松本家の人達は、祐一以外はまともであった。
煉獄家の2人が、夜分に訪ねてきたので
松本家は驚いた。
そして、事情を聞いた瞬間、
松本家の当主、祐一の父は青ざめた。
槇寿郎は松本家を思い、祐一を警官には差し出さない代わりに
一発殴らせてほしいと持ちかけたが、
当主は意外にも、祐一のことは警官に引渡し、
縁も切るとの事だった。
もともと、仕事で家にいないことが多かった祐一だが、
それも仕事ではなく、泰葉を追い回すためだと分かり
頭にきていた。
すると、日付が変わるころ、のこのこと祐一が帰ってきた。
鬼の形相の親と、煉獄家の2人を見て血の気が引く祐一。
しかし、口から出てきたのは
『泰葉が悪いんだ!
僕のことを夢中にさせておいて、
僕のことは見てくれない。
煉獄家に行って不貞を働いた!』
その言葉は、まさに
火に油を注ぐ
という。
祐一は親はもちろん、槇寿郎と千寿郎にまで殴られたのだった。
千「泰葉さんに、二度と近づかないでいただきたい!」
そう言ったときの、千寿郎の顔は恐らく誰もが忘れることはないだろう。
槇「杏寿郎がいなくて良かったな。
あいつがいたら、お前の命も無かったやもしれんぞ。」
槇寿郎の顔もゾッとするほどな表情だった。
松本家はその場で祐一と縁を切り、警官を呼び引き渡した。
「本当に申し訳ありませんでした」
当主達は槇寿郎達に土下座をした。
2人は、悪いのは松本家ではないと伝え、
これからも関係を変えないように話して、帰路についた。
煉獄家に戻る途中、
槇寿郎は先程の千寿郎を思い出した。
千寿郎も、あのように怒りの感情をぶつける事ができるのだと、驚いた。
「思っているより、子供じゃないと思いますよ?」
泰葉の言葉を思い出す。
「本当に俺よりも、数日しか見ていない君の方が
息子達をよく知っているようだ…」
千「父上?いかがしましたか?」
槇「いや、お前も漢だなとおもってな。
立派だったぞ。」
そう言って、頭を撫でた。