第9章 遊廓
祐一は、力一杯泰葉を押し倒した。
泰葉はドンっと畳に打ち付けられる。
「うっ…」
祐「そういえば、先日は煉獄家から朝帰りだったね…。
何故だい?何をしていた?
あそこの若いのに抱かれたか?
父親と…若いのは2人いたな…
まさか3人相手にしてたか…?」
泰葉は首を振り
「抱かれてなんていない!
煉獄家の人たちはそんな方々ではない!」
祐一は抱かれていない、という言葉に
満足していた。
祐「ごめんね、僕のために綺麗な体は取っておいてくれたんだね。
僕はね、君と夫婦になり初夜を迎えるまでは、君を汚さない。
本当はここに君を入れるのも、心苦しかった…。
でも、夫婦になるには、ここで見受けをするのが早いと思ってね。」
にこりと話す祐一。
表情と話の内容が噛み合っていない。
とんでもない男に好かれたものだ。
そして、この男が自分を売ったのだと分かった。
祐「だから、今日はここまでで…」
と、太ももを触ろうと着物の間から手を入れ…ようとした時。
『おうおう、それは愛するものに対する扱いじゃねぇと思うのは、俺だけか?』
いつの間にか、襖が開いて祐一の手を取る、天元がいた。
祐「誰だ貴様!」
天「おれか?俺は宇髄天元だ。地味な小せぇ頭でよーく覚えときな。」
ふざけるな!と手を振り払う祐一。
祐「煉獄家からの回しもんか?
俺は金を払って彼女と話しているんだ!
そして、彼女は俺の妻となる!」
天元は鼻で笑った。
「脳みそ爆発してんのか。
こうして入ってきたんだ、お前の時間は終わりだよ。
俺はお前の倍の金を払った。
そして、勘違いすんな。
泰葉は俺の嫁になる。
お前なんかよりずっと幸せにできるわ。ボケが。」
天元の言葉に詰まる祐一。
祐「俺の…倍だと⁉︎
ならば、それより…」
天「お前が払おうとしてんのは、誰が稼いだ金だ?
お前じゃないだろ。親父さん達が、汗水流して働いた金をお前の傲慢さで使ってんじゃねぇぞ。」
天元は圧のある、静かな声で言った。
天「それにな、松本家の跡取りだろ。
それでよく煉獄家を敵に回せたな。早く帰ったほうがいいぜぇ。
恐らく、お前の家は総出でお怒りだろうよ。」