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I don’t want to miss a thing.

第1章 …I'll be there for you.



少年が束ねていた髪の毛を解いて、頭をガシガシと掻いていれば、教室の扉が勢いよく開く。

そして、翡翠色の瞳をした金髪の少年が顔を出した。

「場地さん、そろそろ補修終わったっスか?ペヤング買ってきたんで、帰って食いましょうよ!」

「…おー、千冬ぅー。丁度いいトコに来たな!」

場地と呼ばれた黒髪の少年は、眼鏡を外すとニカッと愛嬌のある犬歯を見せる。

対して、千冬と呼ばれた少年は「何かあったんスか?」と不思議そうに場地の前の席に腰を下ろした。

「三ツ谷と凛子の2人の間にあるのって恋なのか愛なのか、お前、どっちだと思う?」

「…え、何スか急に。場地さんらしくない話題っスね。」

突然の場地からの質問に、またしても驚き、大きな目を見開いた千冬。

「はは、手紙に2人のこと書いてたら、急に気になってよ。」

「なるほど…難しい質問っスね。…うーん、でも、きっと2人の場合はどっちもじゃないっスか?恋でもあるけど、愛でもあるみてぇな.......。多分愛もあるから相手の喜ぶことがしたいと思ったり、相手のペースにあわせたいって思うんじゃないっスかね。」

俺も恋愛経験少ないんであんま詳しいことわかんねぇっスけど…そう言って、顎に手をかける千冬。

「…なるほど、どっちもってこともあんのか。複雑だな。」

「見てるこっちとしてはじれったい2人っスけどね。…あー、いいなー、俺もご近所物語みてぇな恋愛してぇなー。」

「あ?ご近所物語?」

「矢沢あいの漫画っス。デザイナー志望の女の子と近所に住む幼馴染の話……って、場地さん、ここの漢字間違えてますよ。…あ、こことここも。」

「え!?嘘!?」

蒸し暑い教室には、2人の楽しそうな声が明るく響いていた。

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