I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「え、こんな時間に邪魔しちゃ家族に迷惑じゃねぇ?」
流石に俺がこの時間に前触れもなく登場するのはまずいだろう、特服着てるし、なんて思って、そう返答すれば、椿木さんはまたいつものようにニコッと笑ってみせた。
「ぜーんぜん!今私しか住んでないし。……あーでもそっか、妹ちゃん達のとこに早く返してあげないとダメだね。」
そしてそう言うと椿木さんは苦笑した。
そんな彼女の笑顔が少し寂しそうに見えて、俺は無意識のうちに口を開いていた。
「あーじゃあ少しだけ上がらしてもらうわ。これから飯だろ?手伝うよ。」
それを聞いた椿木さんはまた嬉しそうに「ありがとう!」と花が咲いたように笑った。
てか、椿木さんしかいないなら、尚更男の俺なんか呼んじゃダメじゃねぇ?
椿木さんって危機感0タイプなのか…?
そもそも俺のこと全く男として意識してないとかだったら、なんかちょっと複雑…。
俺はそんな想いを胸に抱えながら、鼻歌交じりにエレベーターに乗る椿木さんの後を追った。