I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「…はぁ~~~~~、何でお前らまでついてくんのかなぁ~~~~~~。」
俺の後ろで、美味そうにベビーカステラを頬張るマイキーと、たこ焼きのビニル袋を引っ提げたドラケン、椿木さんの横でキャッキャッと声を上げているエマの3人を見て、盛大な溜息をついた。
はぁ、ほんと……。
お前ら、たまには、少しくらい2人きりにしてくれてもよくねぇ?
まぁ、ルナとマナもいるから、厳密にはデートじゃねぇけど……。
そんな不満を人知れず脳内で繰り広げていれば、「タカちゃんタカちゃん!」と椿木さんが駆け寄ってきた。
「はい、あーん」
差し出されたスプーンには、レモン味の黄色いかき氷。
俺は一瞬目を瞬かせたあとで、あむっとそれを口にくわえる。
一瞬で口内に広がった甘酸っぱいというより少し甘ったるいレモンの味に、俺は思わず「…あまっ」と口に出した。
それを聞いた椿木さんは満足そうに「へへっ、おいしーでしょ!」と顔を綻ばせると、土手に座る柚葉を見つけて、嬉々としてそちらに駆けていった。
「………あー、あまいわ。めっちゃあまい。」
無邪気に笑う椿木さんの笑顔に、俺の脳内甘さ100%
「…あ?三ツ谷お前何言ってんだ?」
「暑さで頭やられたかー?」
「お兄ちゃん、今日なんかぼーっとしてる?だいじょーぶ?」
「だいじょーぶ?」
俺の心情なんか知る由もないマイキーとドラケン、それからルナとマナの掛け声に適当に相槌を打っては、俺らも柚葉と八戒の元へと向かった。
そして、この後は結局、突如姿を現した場地と千冬も加わって、花火が打ちあがる直前まで馴染みのメンバーでドンチャン騒ぎを繰り広げることとなる。
「千冬ぅー!ペヤングも美味いけど、屋台の焼きそばも中々イケんな!」
「そりゃあ、こっちが本物っスからね!美味いに決まってますよ!」
「…あ?ペヤングの真似して屋台で出してんじゃねぇのかよ?!」
「……はあ〜〜〜…何でコイツらまでいるんだろう…」
俺の嘆きは宵闇の中へと吸い込まれていった。