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I don’t want to miss a thing.

第1章 …I'll be there for you.



「…コレ、こないだの誕生日のプチお礼………っていうのは半分ほんとで半分嘘、実際は俺が椿木さんの浴衣姿見たくなったってのがほんとのところ。」

「よかったら、これ着て今年の花火大会一緒に行ってくんねぇかな?…っつっても、ルナとマナも一緒になっちまうんだけど…。」

そう言って少し照れたように一式をこちらに差し出すタカちゃん。

「……え、なにこれ……ひょっとしてタカちゃん、私のために作ってくれたの?!」

タカちゃんから手渡された浴衣一式に驚いて、浴衣とタカちゃんを交互に見遣れば、タカちゃんはまた少し照れたように頭をポリポリとかいてはにかんだ。

「おう、一応、俺の自信作。生地選びから椿木さんに似合うものにこだわって作ったんだ。下の方に刺繍もいれてみてあるから、広げてみろよ。」

タカちゃんに促されるまま、綺麗な色の浴衣を床に広げてみれば、クリーム色や淡い金色の糸で椿のような花々を模った美しい刺繍が袖や裾のあたりにいくつも施されていた。

「………え……タカちゃん………すごい…素敵…。」

息をのむほど綺麗に模られた綺麗な花々
よくよく見れば、浴衣の刺繍は、帯に入れられている刺繍とセットになっているようだった。

しばしの間、藤紫色の地に咲いた華憐な花々に目を奪われ、一本一本丁寧に繊細に施されたソレに手を滑らせては感嘆の息を漏らす。

「中々いいデザインだと思うんだけど、どお?」

私が声にならないほどの感動に身を任せていれば、少ししてタカちゃんが少しはにかみながら顔を覗き込んでくる。

「…こんなに綺麗な浴衣、見たことない!どうしよう、凄すぎて見合う言葉が全然見つからないよ……ほんとに私なんかが貰ってもいいの?!」

そう言ってタカちゃんの顔を見つめ返せば、タカちゃんは「椿木さんのために作ったんだ。逆に貰ってくれないと困る。」と言って笑う。

「……えーーーーー!どうしよう…こんな嬉しいプレゼント貰ったの本当に久しぶり!どうしよう、タカちゃん。私ほんとにすっごい嬉しいし、すっごい感動してる!!…うわぁ、たかちゃん、本当にありがとう!!!一生大事にするよ!!!」

驚きと嬉しさと感動とで、私がもうそれは滅茶苦茶に喜んでいれば、タカちゃんは「おー、そんな喜んでもらえてよかったわ。」と嬉しそうに目尻を下げて私を見つめていた。

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