I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
ドギマギする胸を必死に抑えながらタカちゃんの背に身を預けていれば、あっという間にタカちゃんと私の家の通りまで来てしまう。
照れくさくて早く離れたい気持ち、まだこのままもう少し一緒にいたいという気持ち、そんな少しうるさい私の心。
お互いの家のあたりでバイクを止めると「ちょっとウチ寄ってける?椿木さんに渡してぇもんがあってさ。」と、こちらを振り向き、少し照れた顔でニカッと笑ったタカちゃん。
” あぁ、すきだなぁ ”
なんて、頭に浮かんだ言葉は一旦飲み込んで「渡したいもの?えーなになに?」と笑ってみせれば、「ん?まだ内緒。」と嬉しそうにはにかむタカちゃん。
バイクを止めて歩き出したタカちゃんの後ろに続いて、タカちゃんの自宅の扉をくぐれば、ルナちゃんとマナちゃんが「2人ともおかえりー!」「おかえり!」と勢いよく抱き着いてきた。
「おー、ただいま。椿木さん、悪いけどその辺座ってて。今取ってくっから。」
「りょーかい!」
タカちゃんがワラワラと集まってきた妹2人の間をすり抜けて自室がある方へと進んでいくのを確認して、居間の適当なところに腰をかければ、私の横にぴったりとくっついて座るルナちゃんとマナちゃん。
そんな2人が可愛くて2人の綺麗な髪の毛を撫でると、2人は嬉しそうにニコッと笑う。
「ふふ、2人とも笑った顔がタカちゃんそっくり!」
タカちゃんの笑った時に優しく緩む目尻を思い浮かべて微笑んでいれば、後ろから「何が俺にそっくり?」とタカちゃんの少し低い声が聴こえる。
「んー?ルナちゃんとマナちゃんの笑った顔がタカちゃんの笑った顔にそっくりだなぁって。」
そう笑顔で振り向けば、何やら紙袋を手にしたタカちゃんが「まぁ一応兄弟だかんな。」と笑う。
タカちゃんは私の向かいに胡坐をかくと、手にしていた紙袋の中を覗いた後、淡くて綺麗な紫色だったりクリーム色の布や装飾品だったりをいくつか取り出した。