I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
暫くして、エマに手を引かれながら椿木さんが俺の前に現れた。
「…ちょっ、ちょっとエマちゃん…ストップ!」
「やっほー、三ツ谷。うちらのプロデュースした凛子ちゃんはどうよ?ちょー可愛くない?♡」
「凛子ちゃん、こっちのが絶対イケてるから大丈夫だって。」
ふふんと得意気な表情のエマを先頭に、恥ずかしそうに目を左右に泳がせている椿木さん、そして、エマの後ろに隠れようとする椿木さんの背中を押す柚葉たちがやってきた。
俺は、目の前に差し出されたギャルっぽくなった椿木さんを上から下まで舐めるように見つめる。
少しカールした髪の毛に、元より大きな瞳を際立たせるアイメイクと、艶々と輝く形の良い唇。
普段より20㎝ほど短くなったスカートの裾からは白くて柔らかそうな足が伸びていて、腰元にはカーディガンが巻かれている。
そして足元には、柚葉やエマと同じルーズソックスが存在感を発揮していた。
「……へぇ……こういう派手な感じも新鮮でいいな。」
目の前で顔を真っ赤にして俯いている椿木さんにそう告げれば、真っ赤な顔が勢いよくこちらを向く。
「…ほ、ほんと?」
「おう!」
少し不安そうな顔をする椿木さんに、ニカッと最大の笑みを向ければ、椿木さんは安心したようにふにゃりと笑った。
「……まぁでも…それはそれで似合ってっけど、椿木さんはそんな飾んなくても可愛い。」
「…へ?」
そして、俺がそう一言付け加えれば、目の前の椿木さんの顔は余計に真っ赤に染まる。
そんな椿木さんを可愛いと思いつつ、「それにこれはちょっといただけねぇ」と腰で折っているスカートを何回か元に戻せば、エマと柚葉からブーイングが飛んでくる。
「ちょっと三ツ谷!せっかく可愛くしたのにー!」
「スカート伸ばすとか、マジ三ツ谷あり得ない。」
「…バーカ、こんな綺麗な足、他の男に見せたくねーんだよ。変な奴に絡まれても困るしな。」
そんな女子達の猛反対を受け流し、そう椿木さんの頭を撫でれば、
「三ツ谷クサッ、マジでキモイ」
「わー三ツ谷って意外と独占欲強い感じ?」
「男前なタカちゃん、マジかっけぇ!!!」
と、今度は多種多様なコメントが飛んできて、俺は苦笑した。