I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
『そろそろそっち戻るけど、準備とかへーき?』
時刻は夕方17:30。
八戒からそろそろ渋谷を出るとの連絡に、OK!と返事をする凛子。
その後、エマと凛子の恋バナも一段落し、凛子も平常心を取り戻していた。
そして、凛子がずっと気を揉んでいたシフォンケーキも無事にふんわり焼き上がり、今では、紅茶味のクリームとシロップで丁寧にデコレーションが施された状態で冷蔵庫にて出番を待っているところだった。
「ドラケン達ももうすぐ着くってー!」
「マナ早く食べたい!」
「こら、マナ!お兄ちゃんが来るまでつまみ食いしちゃダメ!」
凛子はドキドキしながら、三ツ谷と八戒の帰りを待つ。
「…うわぁ、何か凄い緊張してきた……。」
「ちょっと何急に弱気になってんの!」
「だって、何か色々張り切りすぎちゃって、タカちゃん逆にひくかもしれないじゃん!!!うわーん、エマちゃん、どうしよう死にそう~~~~~」
突然抱き着いてきた凛子を受け止めると、エマはくすくすと笑みを零した。
「大丈夫だよ、凛子ちゃん。三ツ谷ってほんといつも人の世話ばっかってゆーか、こんなにちゃんとお祝いしてもらったことあんまないだろーから絶対喜ぶ!ウチが保証する♡それに全品味見したけど、全部まじでちょー美味しかったし、味もウチが保証する♡なんならウチが全部食べたいもん。」
「ルナも保証する!」
「マナも!」
「うわーーーーん、エマちゃんもルナちゃんもマナちゃんもみんな優しいよう。ありがとううううううう。」
凛子があまりに情緒不安定を発揮したので、ルナとマナも驚いて思わず凛子に抱き着いてニコリと笑いかける。
そうすれば、凛子は今度はルナとマナを抱き寄せ出す。
そんなこんなしていれば、ピンポーンとインターホンを鳴らす音が聞こえて、凛子は飛び上がる。
「え、タカちゃん達、もう来たの?!」
そんな初めて見る凛子の慌ただしい姿に、エマは微笑みながら、「バイクの音からして、ドラケンとかマイキーだと思うよ。何か数多かった気もするけど…」と言って玄関へと向かった。
その声に、とりあえず凛子もホッと胸を撫でおろすと、エマの後ろに続いた。