I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「ルナちゃんとマナちゃんって、三ツ谷の妹だよね?」
「そうそう。2人とも三ツ谷くんに似て少したれ目で、少し口が悪くて凄い可愛いの。」
凛子が携帯で撮ったルナとマナの写真の数々をエマに見せれば、エマは「へ~、これが三ツ谷の妹ちゃん。」と意外そうに呟いた。
そして、三ツ谷兄妹との日常を楽しそうに話す凛子の顔を優しい表情で見つめると、思い出したように口を開いた。
「てか、三ツ谷の誕生日、次の土曜じゃん。何かあげんの?」
凛子はエマの言葉に一瞬動きを止める。
「…え?今度の土曜って6月12日?」
「え、もしかして知らなかったわけ?」
「……うん、タカちゃんと誕生日の話なんてしたことなかったし……。やばい、今日いれてあと一週間足らずしかないじゃん!!!…いつもお世話になってるし何かしてあげたいけど………どうしよう、男兄弟いなかったし何あげたら喜んでくれるか皆目見当もつかない……!」
突然の誕生日発覚に頭を抱える凛子。
一方で、エマは、この2人が彼氏彼女の関係ではないとは本当のことだったのか、と不思議そうに凛子の姿を見つめていた。
うーん、と暫し2人して考え込んだのち、
「タカちゃん、洋服も喜びそうだよね」
「ペアのネックレスとかもいいんじゃない?」
「ペアネックレス?!それは流石にダメじゃない?!」
「そうかなー、三ツ谷喜びそうだけど……」
という押し問答が暫く続くと、エマがふと良いことを思いついたかのように口角を上げた。
「よしっ、ウチに任せな♡こういう時は聴き込み調査が一番♡」
パフェを一口頬張ると、携帯を耳に当てた。
「ねーねー、三ツ谷の喜びそうなプレゼント知らない?」
『…あ?三ツ谷?んなもん俺が知るかよ。』
電話が繋がると、どことなく嬉しそうに話し出すエマ。
携帯から少し漏れて聴こえてくる低い声に「ドラケン君に聞いてくれてるのかな?」なんて、凛子はパフェを含みながら考える。