I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
凛子と三ツ谷兄妹が急いで、八戒を待たせているDannysに向かえば、ドリンクバーを飲みながら携帯をいじっている坊主頭の姿があった。
「おう、八戒。悪ぃ、待たせたな。」
「おー、たかちゃん!待ちくたびれたぜ。何してたんだよ?」
三ツ谷が八戒に声をかければ、八戒は顔を上げ、ニカッと笑った。
三ツ谷はそのまま八戒の横に腰掛け、向かいのソファ席にルナ凛子マナの順に座る。
「うちのルナマナをプリンセスに変身させて写真撮影してたら、時間過ぎちまってて。」
「凛子ちゃんとお揃いー!」「お揃いー!」
「なるほど、そういうことなら仕方ねぇな。俺、妹大事にするタカちゃん、好きだぜ。」
八戒は、ふわふわと巻き髪を八戒に見せつけているルナマナに「おーいいね!」と言った後、再度、三ツ谷を見てニカッと笑った。
そんな2人の様子を見て微笑む凛子。
「はは、今回は椿木さんに助けてもらったけどな。さて、腹減ったから何か食おーぜ!」
三ツ谷はそんな凛子をチラリと見つめて微笑むと、メニューを手に取り、5人はそれぞれ好きなものを注文した。
「ねーねー八戒君、この間は急に話しかけちゃってごめんね。」
「…………」
一通り注文を終えると、凛子が八戒に声をかける。
勿論、極度に奥手な八戒から返事はない。
しかし、凛子は全く気にする素振りもなく笑顔で続ける。
「私、椿木凛子って言うの。私の存在くらいはタカちゃんに聞いて認知してくれてる?」
「…………」
「私も八戒君と仲良くなりたくて、タカちゃんに連れてきてもらったんだ!ぜひ、これからよろしく!」
「…………」
「…はは、ほんとダメな奴。椿木さんのことは、ちゃんと教えてあるから安心して。」
「八戒、変なのー!」「変!」
一方的に笑顔で話しかける凛子とピクリとも動かない八戒の様子を見かねた三ツ谷が口を開く。
ルナマナコンビはフリーズしてしまっている八戒の頬をプニプニと触る。
「ん?誰が変だって?」
「「八戒ー!」」
ルナマナに触れられ、こちらに戻ってきた八戒。
それを見て、ルナマナはケラケラと笑っていた。