I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「さーん!にー!いーち!」という椿木さんの掛け声のあと、パシャッというシャッター音が鳴り響く。
携帯を手に取り、撮れた写真を確認すれば、ルナとマナの後ろでピースをしている椿木さんと俺が並んでいた。
「わー、いい写真!家族写真みたい!」
横から撮れた写真を覗き込む椿木さんは嬉しそうに「それ、私にも後で送ってね」と口にした。
「了解。今送るわ。」
俺は忘れないうちにと、写メを即座に送る。
送信が完了したところで、携帯の着信音が鳴り、俺は通話ボタンを押した。
「おー八戒。どうした?」
「どうしたじゃねぇよ!もう約束の時間とっくに過ぎてんだけど!」
「え、まじで?」
八戒に言われて時計を確認すれば、集合時間を15分ほど過ぎたところだった。
「あー悪ぃ、今行くから、あと10分くらい待ってろよ。」
「もうー、タカちゃんだから許すけどさー。」
「悪かったって、何か後で奢るから、な?」
不満を漏らす八戒をなんとか宥めて、電話を切れば、椿木さんが「ごめん、こんな時間経ってると思ってなかった…」と申し訳なさそうに謝ってくる。
「俺が写真撮ろうって言いだしたんだ。気にすんなよ。」
そう言ってルナとマナにするように頭をぽんぽんと撫でれば、椿木さんは少し驚いたあとで「ありがとう。」とはにかんだ。
俺たちはその後、足早に、八戒の待つファミレスへと足を運んだ。