I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
シャワーで全身の汚れを洗い落とし、居間に顔を出せば、すっかり先程の熱は引いた様子の凛子がいた。
そして例の如く、自身が座る前方に来るようにと眉間に皺をよせた凛子が床をポンポンと叩く。
俺は促されるまま、凛子の前へと腰を下ろした。
ふくれっ面の凛子と向かい合い、凛子がテキパキと消毒液やらガーゼやら準備をしてくれる様子を静かに眺める。
血の気が盛んだったらしい姉ちゃんの手当ての経験が豊富な凛子はこの手のこともとても手際が良い。
「…うぎゃあ~…ちょっと沁みるよ…。」
なんて。
自分のことのように痛そうに俺の傷に消毒液を含ませた脱脂綿をのせていく凛子。
傷口に感じる刺激に顔を歪めれば、凛子が心配そうに顔を覗いた。
「…ごめんね、大丈夫?」
「おう、世界一可愛いナースが手当してくれっから、こんなん全然ヘーキ。」
そんな軽口を言って笑えば、凛子は「またそんなこと言って」と言って嬉しそうに笑った。
可愛いその笑顔に、俺の疲れた体は癒されていく一方で。
やっぱり俺の彼女、天使とか女神なんじゃねぇかな、なんて本気で思った。
ゲームのキャラなんかでいうところのヒーラー系?
笑顔だけでこんなにも癒されてしまうのだから、きっと凛子の治癒能力は計り知れない。
こんなことドラケンあたりに聞かれたら、また笑われることは間違いない。
あと、
パーちんあたりにでも聞かれたら、ぶん殴られるか蹴り入れられるかのどちらかなことも間違いない。
だが、それもまた良し。
凛子がせっせと手当してくれる傍ら、俺はそんな平和な考えに耽った。