I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
「また喧嘩してきたの?!」
最近勢力を増してきたチームとの抗争を終えて、俺が体の至る所に傷を作って帰宅すれば、凛子が怒ったような困ったような顔して駆け寄ってきた。
「おー、凛子、いつも遅くなって悪ィな。」
そう言って苦し紛れに笑えば、
「…もう!謝るとこそこじゃないし!消毒するから取りあえず先にシャワー浴びてきて!」
なんて俺のことを半ば強引に風呂場まで連行していく凛子。
プンプンと擬音が似合う凛子の後ろ姿に、凛子と結婚したらこんな感じだろうなぁ…なんて一人ニヤける俺。
別に今日みたいな流れはいつものこと。
それでも俺は毎度、こんな能天気なことを考えたりしている。
そして風呂場に着いて、心配そうに俺のことを見つめる凛子に、
「凛子も一緒に入る?」
なんて悪戯に聞けば、瞬間湯沸かし器の如く、ボンッと顔を真っ赤に染める凛子。
そしてまた少し怒ったような顔して「冗談言ってないで、早く入って!!!」なんて、脱衣所の扉を勢いよく閉めた凛子。
「ハハッ、別に冗談じゃねぇのにな。」
一々俺の心をくすぐってくる愛しの彼女の姿に俺はまた1人頬を緩めるのだった。
こんな可愛い凛子の姿を拝めるなら、俺はこれ位の傷、何回作ったっていいわ…なんて。
温かいシャワーを浴びながらそんな馬鹿みたいなことを柄にもなく思う。
でも、そんなことを言ったらまた凛子に叱られてしまうのだろう。
だけれども、それはそれでまた、俺にとってはただの幸せな一コマにしかならないことは間違いないわけで。
「……あー…やっぱ俺、幸せだわ。」
なんて。
静かな浴室にそんな俺のゆるみきった声が響き渡るのだった。