I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
暖かい日差しが降り注ぐ教室の片隅。
少し軋む窓を開ければ、小さな桜の花びらが一枚。
目の前の机のもとにひらりと舞い込んだ。
一生帰ってくんな
整形女
ブス
死ね
ざまぁみろ
心無い言葉が無数に書き殴られたその机。
誰かの手によってご丁寧に飾られたのであろう菊の花。
卒業を祝うこの晴れやかな日には似つかわしくないそれらに眉を顰めた。
机上の文字の羅列を指でなぞれば思い出される過去の痛み。
去ってはまた繰り返される憎しみの連鎖。
そんな世の遣る瀬無さを嘆くように、もしくは誰かの涙を代弁するように。
桜の花びらが一片、また一片と儚く散っていく様子を、私はただ静かに眺めていた。