I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
『…凛子、愛してる』
真剣そのものの熱を帯びた瞳でそう告げたタカちゃん。
私は、今は瞳を閉じて気持ちよさそうに眠っている端正なタカちゃんの寝顔を、幸せな気持ちで眺めていた。
長い睫毛をそっとなぞれば、「…んー…」と心地よい中低音のタカちゃんの声が零れた。
愛してる、だなんて言葉。
こんなに早くその口から聞かせてもらえる日が来るなんて、予想だにしていなかった。
トクン…トクン…と未だに高鳴っている胸の鼓動。
「…凛子も愛してるよ、タカちゃん。」
口にすれば少しこそばゆい ”愛してる” という大人びた台詞。
恥ずかしくなって、タカちゃんの細くも逞しい胸元に擦り寄れば、タカちゃんの心臓の音が聴こえる。
トクンッ…トクンッ…と穏やかに鳴り響く胸の音に口づけを一つ落とせば、タカちゃんの腕がギュッと私を強く抱き寄せる。
恋は下心、愛は真心だなんて。
そんな上手いこと、一体誰が言ったのだろう?
まだ未熟な私は、愛するという本当の意味をわかりきっていないのかもしれない。
それでも、
この、唯一無二の尊い命を紡ぐ音が鳴り響く場所に、私のたった一つの愛を、心を捧げたい。
あぁどうかこの音が絶えることなく、いつまでも穏やかに私の耳元で響き続けてくれますように。
こんな甘く切ない想いを愛と呼ばずして、一体何を愛と呼ぶのだろうか?
目を閉じれば聴こえてくる静かな寝息に、私も口元を緩めて瞳を閉じた。