I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
慣れた手つきで、ふわふわとマナの髪の毛を巻いていく椿木さん。
5分と経たずに、綺麗な巻き髪が出来てマナは「お姫様みたい~!」といって超絶ご機嫌。
そんなマナを見て微笑む椿木さんは、今度はルナの髪の毛も同様に手際よくふわふわと巻いていく。
そして、
「ふふふ、こうしてるとお姉ちゃんに巻いてもらった時のこととか、ユキの髪の毛巻いてあげた時のこと思い出すなぁ~。」
と言って、笑った。
どことなく憂いを帯びたような、けれども幸せそうな、そんな複雑な表情を浮かべて微笑む椿木さんの姿を見て、俺はシンプルに綺麗だな、と思った。
「よし、世界一可愛いリトルプリンセスたち、準備が整いましてよ!」
「わーい!凛子ちゃんと一緒だ!♡」
「一緒!」
そうして暫くすると、あっという間に、2人の髪の毛はくるくるになった。
「おーお前らよかったなー。ちょっと3人、そこ並んで。」
お揃いの髪型にしてもらえてご満悦のルナとマナを椿木さんの両隣に座らせる。
「タカちゃん、どうしたの?」
「ん、何か良い絵だなと思ったから、写真でも撮っとこうかと思って。」
不思議そうな顔をしてこちらを見つめる椿木さんに俺がスマホを取り出してそう言えば、椿木さんは「いいね!」と言って花が咲いたように笑った。
「じゃあ撮るぞー。ハイ、チーズ。」
パシャッという明るいシャッター音が響く。
「ん、いいね。」
撮れた写真を確認すれば、笑顔の3人が仲良く映っていて、俺は一人笑みをこぼす。
「次はタカちゃんも一緒に撮ろうよ!タイマー使って!」
「え?タイマー?そんな機能使ったことねぇよ。」
そんな俺の横にとことことやってきた椿木さんは、「みんなで集合写真とったりしないの?」と驚いた後、タイマーの設定方法と解除方法について教えてくれた。
「この辺だったら入るかな?……よし、タカちゃん、ルナちゃんの後ろ座って!」
そして、携帯を机の横に置いて構図を確認しながら、椿木さんが口を開く。
俺は椿木さんの指示のあった場所へと移動する。
そうすると今度は、椿木さんが「3,2,1で撮るからねー!じゃあ行くよー」といって、急いで机の横から俺の横に移動してきた。