I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
タカちゃんの期待の眼差しを受けながら、小さな小包を紐解いていけば、甘い香りが鼻を刺激した。
その香りに私の期待もより一層膨らむ一方。
そして包みを最後まで剥がすと、姿を現したのはハート型のクッキー達。
「…わぁ!可愛い!」
赤や黄色、黄緑といったカラフルな色付けをされた可愛いクッキーの登場に瞳を輝かせれば、タカちゃんは安心したように微笑んだ。
「味もまぁまぁイケると思うから。」
そう言って少し照れたようにはにかむタカちゃん。
そんなタカちゃんの姿を愛おしく思いつつ、
「タカちゃんが作ってくれたものが美味しくないわけがないじゃん!」
と、まずはピンク色したハート型のクッキーを一つ口の中へと放り込む。
サクッとした食感のあとに続くのは、ホロホロと溶けていくようななめらかな口当たり…
「…ん~~~美味しい!!!」
私はタカちゃんの作ってくれたクッキーの美味しさに舌鼓を打った。
シンプルな味付けだけど、それがまた美味しくて。
何より、タカちゃんの気持ちが籠ったクッキー。
市販の高級クッキーなんかより全然美味しいように感じた。
美味しくて嬉しくて、クッキーを口に運ぶ手が止まらない。
そんな私の様子を見て、タカちゃんが安堵したように小さく吐息を吐き出した。
「やっぱりタカちゃんの作ってくれたお菓子は美味しいねー!プロ顔負けだよ!本当に感動!」
そう言って満面の笑みで私が笑えば、タカちゃんも嬉しそうに笑った。
「料理上手な凛子に言われるなんて光栄だわ。」
「えへへ、私なんてタカちゃんに比べたらまだまだヒヨッコ程度のお点前ですよ。」
「確かに、口の周りにクッキーそんなに付けてるようじゃ、まだまだ凛子もヒヨッコだな。」
「えぇ?!どこ?!」
「ココとソコ。」
そんな軽口を言っては2人で笑いあう。
「いやぁでもほんと、素敵なホワイトデーをありがと。タカちゃん。」
「どういたしまして。凛子の喜ぶ顔が見たかったんだ。」
暫くして、そう改めて感謝の言葉を口にすれば、微笑むタカちゃん。
お返しに唇に軽いキスを落とせば、ギュッと引き寄せられる腰。
「…でも、今日はもっと凛子のこと愛させて。」
そんな甘い言葉と共に降り注ぐ、タカちゃんの熱の籠った視線。
私の体がキュンと甘く痺れるのを感じた。