I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
「ハハッ、冗談だって。そんな真っ赤な顔すんなって。」
クツクツと笑っているタカちゃんから発せられた「冗談」という言葉に私がホッと胸を撫でおろすも束の間、今度はタカちゃんの掌が私の頬を撫でた。
「……で、体の方はどう?…やっぱまだ顔色良くねぇけど、寒くねぇ?」
先程までとは打って変わって、そう言って心配そうに私の瞳を覗き込むタカちゃんの瞳には、優しさと心配の色が浮かんでいた。
「んーん、タカちゃんが学ラン貸してくれたからあったかいよ!ホッカイロも持ってきたし。体調も昨日より全然マシ!ありがと。」
そう言って微笑めば、タカちゃんは「そっか、ならよかった。」と言って頬を緩める。
「まぁ、まだ無理すんなよな。」
「うん。いつもありがと、タカちゃん。」
タカちゃんの優しさが嬉しくて笑顔で感謝の意を告げれば、タカちゃんも嬉しそうに目を細めた。
そして、
「オイ!三ツ谷、テメー!!!そんな所で彼女に油売ってねぇで早く戻ってこいや!!!」
なんて、ペー君の大きな声が体育館中に響き渡れば、
「ハハッ、ぺーやんってほんと声でけぇよな。」
なんてタカちゃんはまた笑った。
そして、私の頭に手を置いては、
「じゃあ、仕方ねーから、俺戻るわ。また後でな。」
と眩しい笑顔を見せる。
「うるっせーよ、馬鹿!」
男子コートからこちらに怒声を浴びせているぺーくんの方に返事をすると、タカちゃんは楽しそうな表情を浮かべて再び男子コートの方へと駆けて行った。
「……凛子、顔ニヤけてるよ?」
「…え?!ホント?!」
「ホント~~~~。」
「……へへ。やっぱりタカちゃんのこと大好きかも。」
「ハハッ!だからソレさ~、本人に言ってあげなって!」
「あはは、確かに!」
こうして、私はタカちゃんの活躍を遠方から見守りながら、優美ちゃんと他愛もない話をしながら時間を過ごすのだった。