I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
「……タカちゃん…今日もかっこいいなぁ…とか考えてるんでしょ?」
昼下がり、バスケットボールが飛び交う体育館の隅でボーッとしていれば、隣に優美ちゃんが腰を下ろした。
「ハハ、確かにタカちゃんは今日もかっこいい。」
そう言って笑えば、優美ちゃんもまた「相変わらずお熱いこって」なんて言ってクツクツ笑った。
「…体調、どう?」
「んー、ボチボチかな。ごめんね、心配させちゃって。」
それから、安定の生理痛と貧血のひどさに今日の体育を見学させてもらっていた私に、優美ちゃんが心配そうに声をかける。
申し訳なさに眉を下げれば、優美ちゃんは頭をぶんぶんと降って見せた。
「全然!ほんと、今日は無理せずゆっくりね!また体育祭の時みたいに倒れたら…私三ツ谷君にシバカレルわ…」
「ハハッ、タカちゃんが優美ちゃんにそんな事するわけないじゃん!」
少しおどけてみせた優美ちゃんの言葉に私が笑みを零せば、また2人してクツクツと笑い合う。
「…おー、俺が何だって?」
そうして暫く他愛もない話で盛り上がっていれば、頭上から聞き慣れた声が降ってきた。
「あ、タカちゃん!今日のバスケも大活躍だね!もう本当にかっこよすぎて、凛子キュン死するかと思っ「…ちょっと優美ちゃん!!!」
そして、タカちゃんを見るなり、悪ノリし出す優美ちゃんの口元を急いで押さえる私。
「え~、いいじゃん。減るもんじゃないし。」
「そういう問題じゃないでしょ!」
そうやって押し問答を繰り広げていれば、タカちゃんがハハッと笑う。
「森田さん今日も絶好調じゃん。」
タカちゃんが楽しそうに口を開けば、優美ちゃんは「おうよ!」なんて言って親指を立てた。
「……まぁでも、今の言葉、せっかくなら凛子の口から直接聞きたかったワ。」
なんて。
タカちゃんはそう言うと悪戯な笑みをこちらに向けた。
「………え…」
予期せぬタカちゃんからの言葉。
ドキリと嫌な汗が流れる。
優美ちゃんが言ったセリフもまぁあながち間違ってもないし…何なら正解だけど、いざ大勢の前で言うなんて事態には恥ずかしさが勝ってしまうのが私という人間なわけで…。
暫く「あー…」とか「うー…」とか言って視線を泳がせていれば、プハッとタカちゃんが小さく噴き出す音が聴こえた。