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I don’t want to miss a thing.

第2章 …Please, don't stop the love.



「…凛子、元気ねぇじゃん。どーしたよ?」

暫く一人で感傷に浸っていれば、ふと頭上から愛しい人の声。

それと同時に、子供をあやすように私の髪の毛を優しく撫でる大きな掌。

それから、少し心配そうな色を乗せた紫色のタカちゃんの綺麗な瞳がこちらを覗いた。

「そろそろ帰ろうかと思ったけど…なんか嫌なことでもあった?…それかひょっとして…身体辛ぇとか…?」

そう言うと、少し困ったように眉を下げたタカちゃん。

相変わらず私の機微に敏感なタカちゃんには、本当に頭が上がらない。

でも、

『タカちゃんのこと、本当は私ももっと独り占めしてたいよ』

なんて本音はきっと、

言ってしまったら最後。

気持ちに制御がつかなくなってしまうこと、解りきっているから。

みんなに慕われてるタカちゃんには、やっぱり言えない。

きっとそんなこと言ったって、優しいタカちゃんは嬉しいとかなんとか言って笑ってくれるんだろう。

でも、きっといつか困らせてしまう日が来る。

そんな気がしているから。

言葉を発することに臆病になってしまう私がいた。

「…ううん、へーき!ちょっと考え事してただけ!」

そう言って笑えば、

「…お前、また何か無理してねぇ?」

なんて、タカちゃんは心配そうに私の瞳をジッと覗き込むと同時に、私の頬にすっと手を添えた。

頬を撫でるタカちゃんのあったかくて優しい手。

私は心地よい体温に瞳を閉じた。

「ハハッ、タカちゃんは本当に優しいねぇ。凛子、幸せ。」

そう言って微笑めば、タカちゃんは少し困ったように微笑んだ。

「…それならいいけど、何かあったらすぐ言えよな。我慢とかしねぇで。」

「うん、ありがと。タカちゃん。」

とっても幸せなはずなのに、なんでか少しだけ切ない夜。

私はタカちゃんのバイクの後ろに跨ると、空を仰いだ。

冬の澄んだ夜空に散らばる小さな星たちが、私達2人を優しく照らし出す中、

タカちゃんの少し癖のある甘い香りに混じって、センチメンタルな冬の香りがした。

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