I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
「三ツ谷って案外わかりやすいよねー。アレ、絶対凛子ちゃんのこと褒められて嬉しい~って顔だよ?」
「……」
「…凛子ちゃん?」
「……」
「…おーい、凛子ちゃーん!」
「へ!?ごめん!ぼーっとしちゃってた!…で、どうしたの?エマちゃん。」
嫌がるタカちゃんに無理言って連れてきてもらった武蔵神社。
駐車場で何だか照れくさそうに笑うタカちゃんを遠くから見つめていれば、突如、エマちゃんのドアップが目の前に現れた。
驚いて目を見開けば、エマちゃんが少し不満そうに頬を膨らませる。
「もぉ~凛子ちゃん、今日なんかすっごいボーっとしてる!…ひょっとして具合悪いとか…?」
「え?そんなことないない!ごめんね、心配かけちゃった?」
心配そうにこちらを覗き込むエマちゃんにぶんぶんと両掌を大きく振って見せれば、エマちゃんは更に眉間に皺を寄せた。
「本当に?…何か顔も赤いケド…熱とかあるんじゃない?」
そう言って心配そうに私の額に少しひんやりとした掌を押し付けたエマちゃんに、私は「あはは、本当に大丈夫だって!ちょっと考え事してただけ。」なんて言ってはおどけてみせる。
……まさか、昨日今日と続いたタカちゃんとの熱い一時を想い出してドキドキしちゃってた、なんてこと、絶対にエマちゃんに言えるわけがない。
でも、考えるのを止めようとすればするほどに、さっきまでタカちゃんが触れていたところが熱く疼いた。
もっともっと2人の時を過ごしたい。
今すぐタカちゃんに触れたい。
私だけのタカちゃんでいてほしい。
そんな事を考えだせば、胸が切なくキュンと痛んだ。
ついさっきまで私がタカちゃんを独占していたようなものなのに。
もう寂しいなんて、自分でも呆れちゃう。
タカちゃんに出会ってからというもの、次第に欲深くなっていく自分に気が付くと私は人知れず小さな溜息をついた。