I don’t want to miss a thing.
第2章 …Please, don't stop the love.
「なぁ三ツ谷♡…これなぁーんだ?!♡」
東卍の集会場所、すなわち武蔵神社の一角。
集会が終わってそれぞれが好きに過ごしている中、俺の前には、ガキが悪戯を思いついたかのようにニヤニヤと楽しそうに口角を上げてみせるマイキーがいた。
「…何って、チョコ。」
「そりゃそうなんだけどさ、……コレ、一体誰にもらったと思う?!」
「……凛子。」
「ピンポーン♪……やっぱ凛子ちゃんって本当は俺の事がすきだったりして…♡」
「いやマイキー、それはねぇだろ。俺もさっき同じやつ貰ったわ。」
嬉々として綺麗にラッピングされたソレを眺めるマイキーの元へ、真顔のドラケンが登場。
そうすればマイキーは、
「え!?ケンチンも!?…なぁーんだ、てっきり俺だけ特別枠かと思ったのに~。」
なんて言って頬を膨らませた。
そんなマイキーとドラケンのやり取りに俺が小さく苦笑を零す。
そうすれば、今度は反対側から場地が、
「相変わらず、凛子の作るモンはうめぇな。」
なんて言っては犬歯の光る満面の笑みをのぞかせた。
先程まで凛子がチョコをコイツらに配ってまわるのを複雑な心境で見守っていたものの、いざこうやって彼女のことを素直に褒められれば悪い気はしないから不思議なもんだ。
「だろ?ほんと自慢の彼女だよ。」
そして、存外、単細胞な俺がそう言って笑顔を向ければ、「ハハッ。三ツ谷、ほんとお前ベタ惚れな!」なんてドラケンに揶揄われた。
少し照れくさく感じるものの、否定する気もさらさらない。
凛子にベタ惚れなんて事実はきっと、凛子に出逢ったあの日から変わらないまま。
そんな俺は、「まぁな!」と言っては大きく笑って見せた。